3月9日の全日本大学選抜戦では、同じピッチに立った岩崎(左)と堂安(右)。少年時代からともにプレーしてきた間柄だ。写真:安藤隆人

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 京都橘高のエースストライカー・岩崎悠人が、17歳にしてガンバ大阪のトップチームに昇格した堂安律について話す時、その表情は生き生きとして楽しそうだ。堂安が岩崎について話す表情もまた同様で、ふたりの仲の良さが伝わってくる。
 
「律とはタイミングがすごく合うんです。彼のボールの持ち方、判断の質の高さはずっと見ているので、直感で分かるんです」
 
「悠人のプレーの特徴は分かっているので、活かしたいんです。すごく良いライバルで、悠人はいろんなJクラブから注目されているし、僕もアドバイスしたりされたりの仲。想いは一緒で、常に同じ気持ちで試合に臨めている良い仲間でもあります」
 
 同じ高校2年生(新3年生)で、U-19日本代表のチームメイト。大阪出身の堂安と、滋賀出身の岩崎とあって、ジュニア時代から関西選抜などで一緒だった。抜群のスピードとそのスピードに乗った状態でのボールコントロール、フィニッシュに優れた岩崎と、高いボールコントロール技術を活かしたドリブルと、左足から繰り出されるパス、シュートが魅力の堂安。
 
 ふたつの才能は、いつでも切磋琢磨しながら同年代をリードしてきた。全日本大学選抜戦でも、彼らは3本目から同じピッチに立った。2トップの一角の岩崎と、右サイドハーフに入った堂安。フィジカルに勝る相手に対し、ふたりはスピードとボディーバランスを活かしたプレーで勝負を挑んだ。
 
 立ち上がりには右サイドでボールを受けた堂安が、岩崎にクサビを当てると、そのまま裏へ飛び出して行く。岩崎がフォローに来たFW邦本宣裕に落とすと、邦本は堂安にスルーパス。これはわずかに合わずにDFにクリアされたが、スピード、テンポともに絶妙で、相手に脅威を与えた。
 
 だが、その後が続かなかった。ふたりとも時折見せるドリブルには非凡なモノを見せたが、攻撃の連係という面では、全体が噛み合っておらず、チャンスを生み出せないまま終わってしまった。
 
「今日のプレーは全然ダメだった。点も取っていないし、スルーパスも出していない。僕はもっとバイタルで受けたかった。あそこで受けて一発でターンして、邦と悠人が一気に裏に抜け出して崩して行く形が理想だった」
 
 試合後、堂安はこう唇を噛んで、今日のプレーを悔やんだ。そして、ライバルであり、親友の岩崎を活かせなかったことも。
 
「悠人にはもっとゴール前に行ってもらいたかった。というより、僕が行かせてあげられなかった。僕がもっと中盤で作って、悠人にフィニッシャーになってもらうことがベストだったのに、チームとしてビルドアップが上手くいかなかったので、自分が落ちてボールを受けていた。でも僕が下がると、悠人もひとつ下がってしまった。邦も下りて来るタイプなので、チームとして効果的なビルドアップができなかった。自分が悠人をもっと助けてあげたかった」
 
 この発言から見て取れるように、このふたりのコンビには、確固たる信念がある。
「ふたりで常に話しているのは、僕らが引っ張っていくような存在にならないといけないということ」(堂安)
「僕らがもっとチームを盛り上げていかないといけない」(岩崎)
 
 ラオスで開催されたU-19アジア選手権予選(U-20ワールドカップ・アジア1次予選)では、彼らふたりはチーム最年少だった。だが、そこに遠慮という二文字はなく、むしろ先頭に立つような気概でいる。
 
「もっとアジリティを高めて、チームで存在感を発揮したい。相手にフィジカルで来られたり、マンマークで付かれても、ハンドオフや瞬発力ですり抜けられるようにしたい。単なるスピードだけの選手と思われないように、ステップやボディコントロールを重視しています」(岩崎)
 
「僕も早くガンバで結果を残して、リオ五輪に行きたいという気持ちもあるくらい、どんどん上に行きたい気持ちはあるので、ここで『U-19代表に残りたい』とか思っていてはいけない。悠人もそうですが、『負けていられへん!』という気持ちは、正直誰にも負けないと思う」(堂安)
 
 高みを見つめ、世代に囚われないふたり。このコンビがU-19日本代表をより活性化させていくはずだ。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)