SOURCE1●政財官
早くも参議院選挙に向けた株価上昇圧力が

2015年11月29日に東京・高輪のホテルで開かれた自民党立党60周年記念式典。安倍首相はゲストに招いたラグビー日本代表の五郎丸歩選手の手を取って会場に笑顔を向けた後、「私たちも来年の来るべき戦いに向けて、精神を統一していこう」と呼び掛け、場を盛り上げた。意中にあるのは次の参議院選挙である。
参議院は2016年7月25日に半数の議員が任期満了を迎える。投票日は「海の日」前後の3連休を避け、7月10日で落ち着きそうだ。
2016年改選の議員を選んだ2010年の参院選では、全121議席のうち自民党51、民主党44と自民党の勝利だった。しかし、得票数は選挙区、比例代表ともに民主がトップとなり、内実は自民党の辛勝だった。
しかし、最近の各種報道を見る限り、自民党の優勢以上に野党の迷走が目立ち、参院選は自民党圧勝に終わる公算が大きい。
共産党が野党共闘を呼び掛けているが、有権者の目には「選挙向けの数合わせ」が明白なだけに、他党の反応は鈍い。最大野党の民主党は内部から公然と解党論さえ出ており、政権奪還に臨む体制とはほど遠い。
大阪維新の会が大阪府知事・市長のダブル選挙で圧勝したことで、次期参院選での独自候補擁立に傾き、自民党が手をわずらわせることなく野党分断が完成しつつある。全国紙記者が「最近、安倍さんの機嫌がいい」と感想を語るのも当然か。
兜町では古くから「国政選挙までは株高」といわれる。選挙前になると与野党が国民の歓心を競うようにして景気浮揚を訴えるためである。
今回は「TPP(環太平洋経済連携協定)対策が主眼になりそうだ」(政府筋)。政府はようやくTPP加入への基本合意にたどり着いたが、12月に入っても「週末に地元へ帰ると農業団体の不安の声が予想以上に大きく、不安が反発に変わったときが恐ろしい」(自民党中堅議員)という。
このため、農業機械導入時の補助や税制優遇といった旧来型の措置に加え、輸出支援や直接所得補償などの農家への生計支援効果が目に見える対策が打たれる可能性がある。
一方、2017年4月に予定されている消費税率10%への引き上げでは、政府は低所得の年金受給者などに3万円の給付金を配る方針だ。サラリーマン層の批判は強いが、対象は1250万人に上り、消費喚起の効果が期待される。日銀による追加金融緩和は最大であと1回とみられる。景気浮揚策の主軸は金融政策から財政政策に戻りそうだ。

※この記事は「ネットマネー2016年2月号」に掲載されたものです。