北京順天徳中医医院の院長である王承徳医師は9日、「よい薬ほど有毒成分がある」、「新薬の審査を簡素化せよ」、「副作用事故を警察を司法にまかせるのはおかしい」などの考えを表明した。中国メディアの華商報が伝えた。(イメージ写真提供:123RF)

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 北京順天徳中医医院の院長である王承徳医師は9日、「よい薬ほど有毒成分がある」、「新薬の審査を簡素化せよ」、「副作用事故を警察を司法にまかせるのはおかしい」などの考えを表明した。中国メディアの華商報が伝えた。

 王医師は、中国政府の諮問機関の中国人民政治協商会議(政協)の委員(議員)でもある。9日には政協の医学衛生部会の会議で発言した。

 王医師は、中医薬(中薬、日本風に言えば漢方薬)の審査が、動物実験などもなり煩雑で冗長と指摘。「新薬を臨床応用する場合、ラットがOKを出さねばならない。中医薬の専門家の意見はないがしろにされる」と不満を示した上で、新薬の許認可で新たな制度を検討すべきと主張。さらに、一般的な患者に対しては、中医師が自ら配合した薬を、もっと使えるようにすべきだと述べた。

 さらに、「どんな薬も有毒だ。毒の成分が多い薬ほど、よい薬だ」、「有毒成分のある中医薬は、西洋薬が治せない症状を治せる」などと主張。

 続けて「(伝説的な名医である)張景用は亜ヒ酸を使って病気を治したことがある」と例を示し、「現在はさまざまな管理が多くなり、中医薬の3分の1が有毒成分を含まないものにされてしまった」と嘆いた。

 さらに、中医薬を使って中毒事件が発生した場合、「警察や司法が取り扱う。(行政に)医療の主管部分があるのに、どういうことなのだ?」と、批判した。

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◆解説◆
 王承徳医師は医療に従事して30年余りの、評価の高いベテラン医師。これまでに発表した著書は15冊、論文は40篇以上と、研究発表活動も活発に行っている。中華中医薬学会常務理事。

 張景用(150年?-219年)は後漢時代の医師。それまでの医学書を総合し、自分の識見を加えて著した傷寒論(傷寒雑病論)は主に伝染病治療を扱い、その後の東洋医学に大きな影響を与えた。

 西洋医学の薬は、個別の成分の役割を基礎に考える傾向が強いので、水銀やヒ素などは「そもそも認められれない成分」と見なされる場合がほとんど。東洋医学などでは、投薬対象者の体の状態と、調合した薬の成分の総合的な働きを重視するので、西洋医学では忌避される成分も使う場合が多かった。

 編者は中国に住む薬学の専門家から「水銀成分があっても、不良反応(副作用)が出るのを100年以上後にできれば、問題ないではないか」と言われたことがある。

 王医師の発言は表現に過激な面はあっても、中医のベテランとしてはとりたてて奇異な内容とは思えない。しかし、その場にいた人は王医師の発言に仰天したという。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)