今季、鹿島ユースからトップチームに昇格した垣田は、ゴールこそなかったものの強烈なシュートで相手ゴールを脅かした。写真:安藤隆人

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 今年の10月に、来年のU-20ワールドカップ出場権を懸けたU-19アジア選手権を控えるU-19日本代表は、3月7日から3日間、東京でミニ合宿を行ない、最終日の9日に全日本大学選抜との練習試合を行なった。
 
 30分×3本で行なわれたこの一戦は、相手の全日本大学選抜が日韓戦を控えたメンバーとあって、大学3年生(新4年生)もおり、U-19日本代表から見ると、2学年上、最年少の伊藤洋輝(磐田U-18)から見ると、5学年も違う、まさに格上が相手となった。
 
 その格上を相手に、先制したのはU-19日本代表だった。1本目の10分、このチームのエースストライカーである小川航基(磐田)がペナルティエリア外中央でボールを受けると、素早い反転からゴール左隅に狙い澄ましたミドルシュートを決めた。
 
 その後も小川が前線でターゲットとなり、ボランチの神谷優太(神谷)がバイタルエリアに切れ込むなど、『形』を作ることができた。
 
 2本目、内山篤監督はスタートからCB中山雄太(柏)とボランチの冨安健洋(福岡)のポジションを入れ替え、2トップと両サイドハーフの顔ぶれも変えて臨む。その7分にFW垣田裕暉(鹿島)がドリブルから強烈なシュートを放つが、これはGKのファインセーブに阻まれた。9分にも右サイドを右サイドバックの藤谷壮(神戸)が破り、中にクロスを送るが、飛び込んだFW森晃太(甲府)には僅かに合わなかった。
 
 チャンスを決めきれないでいると、15分に最終ラインを総入れ替えした直後の18分、ペナルティエリア手前で不用意なファウルを犯し、FKを与えてしまう。これを直接決められ、1-1の同点に追いつかれた。
 
 3本目は前線に岩崎悠人(京都橘高)、堂安律(G大阪)という、ともに17歳のアタッカーを配置すると、このふたりのコンビネーションが停滞気味だったボール回しを活性化させた。だが、相手の最終ラインを破るまでには至らず。逆に9分に右CKの混戦から、逆転弾を浴び1-2の敗戦に終わった。
 
 格上を相手に合計90分を戦ってこのスコアは、健闘と言っていいだろう。大きな収穫と言えば、メンバーが入れ替わっても、どの布陣でも大崩れをしなかったこと。攻撃のバリエーションやアイデアでは不満は残るが、セットプレー以外で点を与えなかったこと、流れの中でスライドやマーク、球際をしっかりと遂行して、チャンスを作らせなかったことは大きな意義がある。
 

「失点をしない。これが重要だと思う。どんな環境下でも最後まで集中力を切らさず戦えば、必ず結果が付いて来ると思っています」とCB町田浩樹が語ったように、アジアを戦う上で、失点をしないことは大前提にある。
 
 過去4度敗れ続けている一発勝負の準々決勝では、なおのこと失点をしない戦いが求められる。パワーやスピードに勝る相手に対して、CBを軸に組織的に守り、1対1の局面でも臆することなく挑んでいかなければならない。そうした姿勢を大学トップクラスの選手たちを相手に表現することができた。
 
 レベルの高い相手にも立ち向かえた要因としては、ポジション争いが挙げられる。とりわけCBの争いは熾烈を極めており、中山、冨安、橋岡大樹(浦和ユース)、町田、野田と高さと強さを兼備した選手がしのぎを削っているのだ。
 
「立ち止まっているとすぐに奪われる環境」(町田)と、それぞれが抱く危機感がチームを良い方向に導いている。中盤では神谷が存在感を発揮し、FWは小川を軸に、垣田、森、岩崎、和田昌士(横浜FM)、邦本宣裕(福岡)と、個性的な選手が競争に加わっており、選手層も一段と厚くなっている。
 
 本番まであと7か月。この競争の原理を弱めることなく、最後までより熾烈な争いを続けていけるかどうかが、5大会ぶりのアジア突破への鍵になりそうだ。

取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)