ストレス解消の“やけ食い・やけ酒・スイーツ”で“隠れ炎症”のリスクが急上昇!

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3月といえば卒業や引っ越しシーズン。まわりの環境が大きく変わって、ストレスを感じ始めている人も意外と多いのでは? そんなとき、ついついやってしまうのが、“おいしいものをたくさん食べ、お酒を飲んで、〆にデザート…”という解消法。

「飲み食いしてストレスを発散するのは、隠れ炎症を引き起こして、老化のリスクを高めます」と、同志社大学生命医科学部教授の米井嘉一さんは言う。

“隠れ炎症”とは、シミやシワ、肌荒れなどの老化や、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病をもたらす慢性的な炎症のこと。血流の乱れなどで体の組織に酸素不足が生じると、細胞がダメージを受けて、“隠れ炎症”が起こりやすいのだとか。

「ストレスで生じた活性酸素は、血液中に糖の量を増やして血糖値を上げるなどの影響を与えます。活性酸素と余分な糖という2つの問題が重なって、炎症の現れ方が強くなるのです」(同)

米井さんによると、体に負担をかけずに日々のストレスをリセットするには、良質の睡眠をとることがいちばんとか。“良質な睡眠”とは、睡眠をつかさどるメラトニンという睡眠ホルモンがしっかり働く状態を指す。それによって熟睡感も得られるという。

「メラトニンは網膜で明るい光をキャッチすると分泌量が減ります。寝る前に明るい部屋にいたり、スマホやパソコンの明るい画面を見たりすると、メラトニンの分泌が抑えてしまい、睡眠障害などを引き起こす可能性があります」(同)

ストレスによる“隠れ炎症”の進行を防ぐには、1週間に最低でも3日は良質の睡眠をとること。また、そのためにはメラトニンの分泌を抑えて、眠りを浅くしてしまうスマホやパソコンを、睡眠1〜2時間前から使用しないのがベター。

「目覚めたときに強めの光を浴びると、メラトニン分泌がピタッと止まってスッキリ起きられます」(同)

このほかに質のよい睡眠をうながすために必要なのは、睡眠時間の確保だそう。

「成人は、深い睡眠と浅い睡眠を1.5時間のサイクルで繰り返すことで、脳を休めます。ストレスをきちんとリセットするには、7.5時間前後の睡眠が必要です。これより睡眠時間が確保できないときでも、少なくとも6時間前後の睡眠はとってください」(同)

“その日のストレスはその日のうちに”が基本。良質な眠りでストレスによる“隠れ炎症”の進行をストップさせて、いつまでも若々しい体を手に入れよう。

米井嘉一
同志社大学大学院生命医科学研究科・アンチエイジングリサーチセンター勤務。1982年慶応義塾大学医学部卒。1986年慶応義塾大学大学院医学研究科、内科学専攻博士課程修了の後、UCLA留学。1989年に帰国し、日本鋼管病院内科、人間ドック脳ドック室部長などを歴任。2005年同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授。2008年同志社大学大学院生命医科学研究科教授。日本抗加齢医学会理事、日本人間ドック学会評議員。抗加齢医学研究の第一人者として、研究活動に従事するとともに、研究成果を講義、講演、著作、学会発表・論文などで日本のみならず世界に発信している。最近の研究テーマは老化の危険因子と糖化ストレス。