専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第45回

 最近、ゴルフ場で見かける30代ぐらいのゴルファーは、明らかに我々オヤジ世代とは"種族"が違います。昔なら「新人類」と呼ばれるのでしょうが、今風の表現で言えば、「サードウェーブ系ゴルファー」といったところでしょうか。

 今回は、そんな彼らのユニークな生態を観察してみたいと思います。

 まず「サードウェーブ」の語源をちょっと勉強しましょう。そもそもの由来は、コーヒー市場での話。シアトル系コーヒーチェーンなどの台頭で広がったコーヒーを「第2の波」と呼び、それ以降に登場した新種のカフェで、高品質の豆を使用しバリスタが一杯ずつ入れて提供するようなコーヒーを「第3の波」、つまり「サードウェーブコーヒー」と呼ぶようになりました。

 この表現は、若者文化を比較するときにも使われ、ゆとり世代や失われた世代を「サードウェーブ系男子」と呼んでいるようです。要するに、団塊の世代(戦後第1世代)、バブル&ITバブル世代(戦後第2世代)に続く、"第3の波"ってことですね。

 これは、アマチュアゴルフ界の構図にも当てはまるので、そのまま拝借して、バブル&ITバブル世代以降のアマチュアゴルファーを「サードウェーブ系ゴルファー」と命名いたしました。

 では、サードウェーブ系ゴルファーとは、どんなライフスタイルなのでしょうか。

 この世代は、テレビゲームで囲碁を覚えたという囲碁六冠の井山裕太棋士(※)に象徴されるような、PC、SNS、ゲーム世代です。井山棋士は、師匠の家まで距離が遠くて、もっぱらPCやゲームで自習。レッスンは、スカイプなどのPC環境を駆使して行なっていたという変り種です。それで「史上最強」と言われるまでの棋士になったんですから、PC文化の申し子、恐るべしです。
※いやま・ゆうた。1989年生まれ。2013年、史上最年少(23歳10カ月)で囲碁の七大タイトル(棋聖、名人、本因坊、王座、天元、碁聖、十段)のすべてを獲得し、グランドスラムを達成。現在は、「十段」以外の六冠を保持。

 同様に、サードウェーブ系ゴルファーは、自分のスイングを撮ったスマホ動画を見て練習します。アプリを駆使してスイングチェックをし、ゴルフ場の予約なども当然PCで済ませます。仲間ともSNSで交流し、ゲームが大好きという感じです。

 だいたいゴルフを始めるには予算がないとできませんが、ITベンチャー、SE(システム・エンジニア)系の方は、フレックスタイム出勤で、出来高制のスライド給与の人が多く、経済環境は整っています。

 生活スタイルとしては、タバコは吸わず、お酒もあまり飲まず、クルマもほとんど乗りません。「経済的だから」とゴルフ場にはおおよそ電車を利用して行きます。たとえクルマで行くとしても、相乗りは当たり前で、何事も合理的に事を進めます。

 ゴルフ場で見かけるサードウェーブ系男子は、こざっぱりしていて、そつなくウエアを着こなしています。プレー中は、お気に入りのスポーツドリンクをマイボトルに入れて持ち歩いていたりしますね。

 腕前は発展途上ですが、真面目にプレーします。ゆえに、プレーが遅いのが難点ですか。グリーン上では、打順が回ってきてからラインを読むなど、ワンテンポ動きが鈍いです。ボール探しも、結構時間をかけて探していますし......。

 それだけ真剣にやっている割にはまったくニギッていないし、オジさんから見て、理解不能な面は多々ありますね。とはいえ"正統派"のサードウェーブ系ゴルファーは、微笑ましく見えます。

 一方でやや問題なのが、"邪道派"のサードウェーブ系ゴルファーの面々です。数でいうと、こっちが断然多いです。

 ビジュアルで言うと、エグザイル系とでも言うのでしょうか。男臭がプンプン漂っています。職種は、飲食業界、水商売、ファッション業界、不動産業界......など、よくわからない自称コンサルティングという方もいらっしゃいます。

 体育会系の気質ですから、仕事には真摯に向き合っています。「いつかは、人気らーめんチェーンを作って、額にタオルを巻いて、腕組みしたポーズでポスターに登場したい」と願っているような方も多く、やる気まんまんです。

 ですから、ゴルフを始める動機も、目標を達成していたり、大成したりしている「先輩を真似て」というのが一番多いです。成功者がする遊びがゴルフって、そこはなぜか昭和的ですけど......。

 ゴルフ場に向かうときは、体育会系なので団体行動が基本です。フルスモークのワンボックスカーで、先輩を迎えに行きつつ、一緒にラウンドする仲間たちと相乗りです。

 ファッションは、ゴルフ場に着て行っていいのか、判断に苦しむような服装が多々あります。入場を断られて、クルマの中でゴルフウエアに着替えてから再入場されるような方もいます。

 彼らにとってファッションは"生き様"ですから、譲れない面もあるのでしょう。が、「ポロシャツの裾をズボンの中に入れてください」という以前に、それがポロシャツなのか、甚だ疑問に感じる上着を着ていたり、どう見ても「ジーンズじゃん」というズボンを履いていたり、というのもあります。

 その辺について尋ねてみると、「一応、ゴルフウエアのメーカーだから」と彼らは答えます。確かに最近、そういうの、多いですよね。

 ともあれ、正統、邪道を問わず、サードウェーブ系ゴルファーは、今後の大事なゴルファー予備軍です。彼らのライフスタイル、プレースタイルを認めないと、ゴルフ人口は確実に減る――それだけは間違いないようです。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa