左の白い建物が本文中の6000万円の物件になる(写真提供:ハノイリビング・山中肇)
◆世界中の富裕層が目を向ける東南アジアの不動産投資

 近年、ネットやビジネス雑誌などでは海外不動産投資の話題が絶えない。特に東南アジアの好景気に目をつけたコンサルティング会社や現地の日本人経営不動産仲介業者が情報を発信し、セミナーを日本国内で開催している。

 例えば、東南アジアで頭角を現しているタイは、首都バンコクだと条件の整ったエリアで賃貸にふさわしいコンドミニアム(マンション)で運用できれば、6%前後の利回りを期待できるという。日本の銀行に預けるよりもずっといい利率だ。ただ、タイでは部屋のオーナーが内装や家具などを調えておかなければならないので、それらの減価償却を考えると夢見るほどの利益を得られるとは言い難い。

それであれば、いまだコンドミニアムの建設ラッシュの状態なので、キャピタルゲインを狙った方が得られる利益も大きいのではないか。そんなことを指摘する投資家も増えてきているようである。

 ほかの東南アジア各国でも首都やリゾート地の不動産投資が盛んで、各国の富裕層だけでなく、日本や欧米の小金持ちたちが地価の乱高下に一喜一憂している。

◆増える「ベトナムで不動産購入」の相談

 そんな中、大企業でないとなかなか投資がしづらかった社会主義のベトナムが、2015年7月に住宅法を改正した。これにより外国人でもコンドミニアムなどの不動産購入が可能になった。

 日本でもベトナムの不動産購入・投資に関するセミナーなどが続々とPRしまくっている。

 ハノイで不動産仲介を行う「ハノイリビング」には最近ベトナム不動産購入に関する問い合わせの電話が増えているという。同社に勤める山中肇氏に話を伺った。

「今まではほぼ皆無でしたが、昨年12月ぐらいから週にひとりくらいの割合で問い合わせがあります。恐らく、日本のコンサル会社がパスポートひとつでベトナム不動産が買えるという広告を出したのが原因かと思われます。実際にはパスポートだけでは買えないんですけどね」

 個人で購入する場合はベトナム入国印がある有効なパスポートを所持し、法人の場合はベトナムに支店などがあることに加え、双方とも有効な投資登録証明書を交付されていなければならない。山中氏が続ける。

「しかも、住宅法第161条では外国人が購入・所有できる物件数は1棟につき全戸数の30%まで、同一区域内で250軒までと定められていて、ほとんど買うなと言わんばかりの細かいレギュレーションになっています。支払い方法は現金もしくは外貨送金です」

 ベトナムではこれまで銀行の信用レベルが低く、不動産購入は現金で支払われてきた。最近になって銀行が住宅ローンを始めているが、ベトナム人はいまだに銀行を信用しておらず、利用者はほとんどいない。そんなベトナムではどれくらいの額で不動産を購入できるのだろうか。

「昨年末に来社された方がホーチミンで投資目的に購入されたマンションが800万円ぐらいだったそうです。これは相当安いです。今月にハノイで販売開始された分譲マンションは日本円で6000万円くらいですね」

◆一筋縄ではいかないベトナム不動産投資

 ベトナムでも内装や家具はオーナーが新調し、付加価値を上げる必要がある。それを合わせると初期投資はあまりにも高額だ。6000万円の物件は167屬3ベッドルームだそうだ。賃貸だと回収に何年かかるのだろうか。日本人が払う家賃の平均は商社や銀行の駐在員で3500米ドル〜、ほかは単身者で1000ドル、家族帯同で2000ドルが相場だという。3500ドルを約40万円とした場合、単純計算で6000万÷40万=150か月、つまり12年以上もかかってしまう。それであればキャピタルゲインを狙ったほうがいいのではないか。そう訊くと山中氏も頭をひねってしまう。