進退について明言を避けた宮間。しかし、今後も女子サッカーを応援してほしいとメッセージを送った。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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「やった。走ったーー!!」
 
 キャプテンの宮間あやはチームメイトたちと勝利の喜びを分かち合いながら、そう口にした。「走り切った」「ようやく、自分たちの戦いができた」――心情はそんなところだろうか。たとえリオ五輪への道が閉ざされても、日の丸を背負う以上、負けは許されない。
 
「これまでやってきたことを証明する」(宮間)と必勝を期したベトナム戦、最後の最後に本来のなでしこジャパンがあるべき姿を取り戻した。
 
 80分に見せた岩渕へのピンポイントアシスト、直後のピンチに157センチの小さな身体を懸命に伸ばしてシュートを弾き返したスーパークリア。攻守での決定的な仕事は、宮間の存在感の大きさを改めて知らしめるものだった。
 
「全員の気持ちが乗った試合でした。内容は言い始めたらキリがないというか、満足することは決してないです。ただ、自分たちらしく粘り強く守備をして、点を取るというのはできたと思います」
 
 もっとも、五輪出場権を失ったことへの自責の念が薄れたわけではない。これまでどんな状況でもキャプテンとしてチームを俯瞰してきた彼女が、「大会が終わったからと言って、正直気持ちを切り替えられていない」と総括を拒んだ姿を見ると、最終戦勝利だけでは払拭できないほどの大きなショックが窺える。厳しい現実を受け止めながらも、「情けない」と何度も悔やんだ。
 
「私たちの目的はリオへの切符でした。それを取れずにオリンピック出場を逃してしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいです。頑張るのは当たり前。勝てないと『頑張っていない』と捉えられてしまう。結果を大事にしないといけない」
 
 注目を集めるのは、宮間の進退だ。それについては「今はあまり考えていない」と明言を避けたが、代表に関しては「現役でいる限りは、それぞれが目指すべき場所」と位置付ける。
 
「たくさんの経験をしてきた選手が多いので、それぞれが女子サッカーの代表として頑張っていかないといけない。今がどうこうではなく、この経験を今後にどうして活かしていくか。この悔しさをプラス材料にできるかは自分たち次第だと思います。これからも(女子)サッカーは終わらないので、応援よろしくお願いします」
 
 2019年フランス・女子ワールドカップ、20年東京五輪に向けてスタートを切る“新生なでしこ”に宮間の姿はあるのか。静かに彼女の決断を待ちたい。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)

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