「佐原商店」のうどん自販機(写真:Aさん)

NHKのドキュメント番組「ドキュメント72時間」の舞台となり、昨年の視聴者投票で1位となった、秋田港近くの船舶食料商「佐原商店」が閉店することになった。うどん自販機も撤去されるというニュースが、2016年3月7日、産経新聞で報じられ、衝撃が広がっている。

テレビやネットで知られるようになったため、全国から訪れる人も多いという、「佐原商店」のうどん自販機とは、いったいどんなものなのだろう?

約25秒で熱々のうどんが出てくる


佐原商店。左端にあるのがうどん自販機(写真:Aさん)

秋田市土崎港西にある「佐原商店」の創業は1958年、半世紀以上も秋田港に入港する船に食料や衣類、日用品などを提供してきた。秋田市ポートタワーの近くにある小さな商店だ。

うどん自販機の設置は、約40年前。当初から秋田市民に大人気だった。最近は老朽化で機械の故障も多く、既に生産中止のため、同型の中古品を探して営業を続けてきたという。うどんとそばを提供しており、各1杯200円だ。


うどん1杯200円(写真:Aさん)

200円を投入すると、約25秒で熱々のうどん、そばが出てくる。店の前にはテーブルとベンチが置かれていて、座って食べることができる。おつゆは一見やや薄味だが、よくかき混ぜると下の方から濃いつゆが浮き上がってくる。テーブル脇の窓に、唐辛子の瓶がぶら下がっており、お好みでかけることも可能だ。大人の男性にはやや量が少なめかもしれないが、もの足りない人はもう200円奮発すればよい。

昨年放送された番組「ドキュメント72時間」では、寒風が吹きすさぶ中、うどんをすする親子、深夜に星空を見上げる運転代行業の男性などのインタビューが紹介された。極寒の中ですする熱々のうどんをとおして、数々の人生を浮かび上がらせ、多くの視聴者に感動を与えた。

今回、写真を提供してくれた都内の会社員・Aさんもその一人。感銘のあまり、はるばる秋田に出かけ、実際にうどんを食べてきたというから、その影響力の大きさがわかる。そのときも、自販機には行列ができていたそうだ。閉店の一報を伝えると、「ええーっ!?」と悲鳴を上げるなど、かなりショックを受けた様子だった。

番組を見た人や地元から、惜しむ声が殺到!

「佐原商店」の閉店に関して、ツイッターには、多くの声が寄せられている。

「あの番組きっかけで部品が見つかって修理出来たばかりなのに...」という人や、「年頃の息子さんとお父さんが吹雪の中でうどんをすすってたのすごくよかったな」という人がいた。ドキュメント番組を見た人からの感想が多い。

「小中学生の頃、岸壁で釣りしてて、よく世話になったなぁ」「よく父に連れられいったもんです」など、地元の人からの惜別の声も多い。