By Scott Lewis

至る所に商品を届けるAmazonが取り扱う商品の数は膨大で、それを振り分けるAmazon倉庫の業務は過酷であることが知られています。劣悪な環境のAmazon倉庫では、従業員が商品に手をつけることも多く、Amazonはその対策にやっきになっているようです。

Amazon’s Story Time Is Kind of a Bummer - Bloomberg Business

(ムービー自動再生注意)http://www.bloomberg.com/news/articles/2016-03-07/amazon-s-story-time-is-kind-of-a-bummer

Amazon.comの商品を取り扱うアメリカ国内の巨大倉庫では従業員を厳しく監視しており、商品を盗む行為が発見されれば厳しく処罰されています。Amazon倉庫に勤める従業員は、勤務時間が始まる前の所定の手続きを済ます間に、Amazonから毎日送られてくる日報を読みますが、その中には日々、「同僚が商品を盗んだため解雇された」という解雇報告が掲載されているそうです。

Bloomberg Businessの取材によると、あるAmazon倉庫では大型のディスプレイを配置して、現在および過去に働いていた従業員が犯した疑いがある「盗みとおぼしき事例」を時おり映し出しているとのこと。明確な証拠がないため処分保留中ではあるものの事例自体は把握している、と警告することで、盗みを働いた者だけでなく盗みを働く可能性のある従業員にプレッシャーをかけていることが、Amazon倉庫で働く人によって証言されています。もっとも、当の従業員たちは「ディスプレイに文句を言いたいのはやましい人たちでしょう。単に監視されていることを知らせているだけです」と述べる通り、ディスプレイで盗み疑惑を表示していることは、給料に対して任務が過酷であるという問題に比べれば大した関心事ではないと考えているそうです。



Amazonが従業員による窃盗に対して並々ならぬ熱意をかけて阻止しようとしていることは過去の事例からも読み取ることができます。例えば、2010年にペンシルバニア州にあるAmazon倉庫で火災報知器が鳴った際には、倉庫外に避難した従業員は真冬にもかかわらず屋外で何時間も待機するように命じられたとのこと。倉庫内での過酷な任務のためか、Tシャツやショートパンツ姿という夏の装いをしていた従業員は、通勤に使っている自家用車の中に入ることも許されず、真冬の寒空の下、こごえるようにじっと待っていたそうです。このときの出来事について従業員は、「Amazonは火災報知器が鳴っている状況に乗じて盗みが横行することを警戒したのだろう」と述べたとのこと。

ハイテクを駆使して商品を安く・早く届けるAmazonですが、一つの商品あたりの利益は小さいため、決して高価とは言えない商品であっても従業員によって盗まれることは「痛い」損害になり得ます。そのためAmazonはハイテクを駆使して従業員を監視し続けているわけですが、盗み防止対策にかかる費用は実際に窃盗被害に遭った金額を上回っている可能性も指摘されています。もっとも、Amazonは従業員の窃盗による損害について明らかにしていないため、詳細は不明です。



By thisisbossi

セキュリティコンサルティング会社LPTのパット・パーフィー氏は、「トラブルにいつ巻き込まれるか分からないことを常に意識させるAmazonの盗難防止メッセージは、盗難をする可能性を秘めた『中間グループ』に影響を与えようとするものです」と述べ、Amazonの対策を人の心理をよく研究した上での行動だと評価しています。現在では作業場や休憩所にスローガンを書いたポスターや匿名で告発できるシステムなど、従業員の犯罪行為を予防するための取り組みが一般的ですが、かつて1980年代には店内に流れる音楽にサブリミナル効果を狙った万引き防止メッセージを紛れ込ませた小売店の例もあるように、時代とともに犯罪予防の技術も進化しているとのこと。マーフィー氏はAmazon倉庫では法律に抵触しない限り窃盗予防を目的としたあらゆる技術が試されるだろうと予想しています。