インターネットの普及により、チャットを通じて海外の人たちと直接やり取りができるようになったが、顔の見えないネット空間での交流には限界があると、西安財経学院の堯舜禹さんは指摘している。資料写真。

写真拡大

インターネットの普及により、中国でもさまざまな情報が入手できるようになった上、チャットを通じて海外の人たちと直接やり取りができるようになった。相互理解を深める機会が増える一方で、顔の見えないネット空間での交流には限界があると、西安財経学院の堯舜禹さんは指摘している。

【その他の写真】

私が日本語を学び始めたのは大学に入ってからだ。私の学校は日本語学科が設置されたばかりで、日本人の先生も留学生も一人もいなかった。だから、日本人と交流したくてたまらなかった。

ある日、たまたま日本人とチャットできるようになった。本物の日本人と日本語で交流できると思ったら、宝物が見つかったようにうれしかった。胸をわくわくさせながら、若者中心のチャットルームに入った。日本人との初めてのチャット。私はずいぶん緊張した。ほかの人を真似して、「こんばんは」と入力して、みんなとあいさつした。すぐに、「こんばんは」とみんな優しく返事をしてくれた。そして、「はじめまして、私は中国人です。日本語を勉強しています。よろしくお願いします」と自己紹介した。みんなも自己紹介してくれた。簡単な日本語だったけれど、初めて通じたのは本当にうれしくて、会話するのは楽しいなと当時の私はそう思っていた。

だんだん私もそこに慣れてきて、新しい友達もできた。レイクさんという中国人だった。彼も日本語を勉強している学生だ。レイクさんは日本人の友達のレンさんを紹介してくれた。レンさんはまだ14歳の中学生だった。レイクさんと私は冗談半分にレンさんを「先生」と呼んだ。彼女は私たちが話した日本語の間違いを直してくれたからだ。それから、私は毎日レンさんとレイクさんとのチャットを楽しみにしていた。ある日、レイクさんは「実はレンさんはこのチャットルームで人気があるんですよ」と言った。夜7時、次第に多くの人が入ってきて、チャットルームがにぎやかになった。しばらく後にレンさんも来た。先の人たちはレンさんのところに集まった。「すごいね、レンさん!」と私は感心した。

そして私もみんなにあいさつしてチャットに入った。ある言葉がわからず、「すみません、どういう意味ですか?私は中国人ですから、よく分かりません」と問いかけてみた時だった。「えっ、中国人?」「なんで中国人がいるの」。雰囲気が変わったような感じがした。「中国人はここから出て行け」「尖閣諸島を侵略し、チャットルームまでも侵略するつもりか!」など、ひどい言葉が出てきた。本当にびっくりした。「チャットルームは政治とは関係ないでしょう」。私はそう言いたかったけど、その時は日本語でどういえばいいか分からなかった。ただ「そうじゃない」と言うしかなかった。

その時、「そんなことを言うのはひどい、もう相手にしたくない!」とレンさんが助けてくれた。そして、レンさんはチャットルームから出て行った。「おまえのせいでレンさんが行っちゃった!」と相手から責められた。心が本当に傷ついた。とても悔しかった。しばらくして、レンさんからメッセージが来た。「ごめんね、気にしないでね」。「レンさんは優しいですね、ありがとう」とキーボードを打ちながら涙が出てきた。

チャットルームは中日青年に交流の場を与えてくれた。しかし、欠点もある。画面を隔てているので、相手の本当の気持ちがわかりにくいことだ。「中国人が嫌い」と言った人たちも、実際に会って話してみると、案外違った印象を受けるかもしれない。だから、言葉と心の生の交流が重要だと思う。留学のチャンスがなくても、両国には互いの言語を学習する機会がたくさんある。日本語コーナーに参加するとか、留学生と積極的に交流するとか。私も自分の力を尽くして、そのような交流に貢献したいたいと思う。中日青年のわだかまりを自分のできることからといていこう。(編集/北田)

※本文は、第十一回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「なんでそうなるの?中国の若者は日本のココが理解できない」(段躍中編、日本僑報社、2015年)より、堯舜禹さん(西安財経学院)の作品「わだかまりをとこう」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。