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 2016年3月4日に米国が発表した2月雇用統計は、非農業部門雇用者数24万2000人増(予想:19万5000人増)、失業率4.9%(予想:4.9%)と好調な内容であった。一方、平均時給が+2.2%(前年同月比)と前月よりも下がったため、3月の利上げが遠のき、株式市場は上昇。ダウ平均は62.87ドル高の17006.77、S&P500株価指数は6ポイント高の1999ポイント、ナスダックは9.60ポイント高の4717.02で取引を終了した。原油価格も上昇した。米国株式市場は落ち着きを取り戻しつつある。日本の株式市場も、日経平均1万7000円をはさんだもみ合いが続いている。

 一方、2月18日、経済協力開発機構(OECD)は「中間経済見通し」を公表した。本サイト配信の記事「OECD、経済見通し下方修正で明らかになった日本の課題」(2月27日)で記したように、この中間経済見通しはOECDの勧告とも言えるものになている。その内容は、「需要を支えるため、より強力な協調的な政策対応が必要。金融政策だけでは機能しない。多くの先進国において財政政策は緊縮的であり、構造改革へのモメンタムは低下している。金融政策、財政政策、構造改革の3つのレバーをより活用して、強力かつ継続する成長を創出していく必要がある」というものだ。

 また、2月27日、中国・上海で開かれていた主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、最近の金融市場の混乱に対し、「すべての政策手段を用いる」との文言を盛り込んだ共同声明を採択して閉幕した。

◆今週〜来週の中央銀行の動向に注目

 米雇用統計、OECDの中間経済見通し、G20と大きな経済イベントが立て続けに終わった流れ受けて、今週および来週は、欧日米の順に、中央銀行の会合が続く。今週は3月10日の欧州中央銀行(ECB)理事会、来週は3月14〜15日の日銀金融政策決定会合が、3月15〜16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。中央銀行の決定事項が、株式市場の動向を左右することになりそうだ。

【欧州中央銀行(ECB)理事会(3月10日)】

 2016年1月21日、欧州中央銀行(ECB)理事会において、ドラギECB総裁は、「下振れリスクが再び増大」していることから、3月10日開催予定の次回理事会で「金融政策スタンスを見直し、再評価する必要が生じた」として追加緩和を示唆した。1月21日時点の下振れリスクとは、金融市場の混乱、原油安、中国など新興国の経済減速を背景にユーロ圏経済への逆風が強まっているとしていた。ドラギECB総裁は、金融政策手段をどこまで活用する用意があるのかに「制限はない」と発言し、政策に手詰まり感が出ているとの懸念を一蹴している。

 12月理事会の追加緩和決定については、より大胆な追加緩和を期待していた市場の失望、すなわち、株安を招いたので、3月は市場の失望が無いような形での追加緩和が市場関係者から期待されている。

 ECB下限政策金利である中銀預金金利の現行-0.3%からのマイナス幅の拡大、国債等の資産買入れプログラム(APP)現行月600億ユーロの買入れ額の拡大、買い入れの前倒し、買い入れ期間の延長などが、追加緩和のオプションになりそうだ。

【日銀金融政策決定会合(3月14〜15日)】

 マイナス金利付き量的・質的緩和政策が2月16日から開始され、民間銀行が日銀に預けている一部の資金に対して、マイナス0.1%の金利が適用された。マイナス金利導入により、国債の利回りが低下し、3月7日時点、10年国債までマイナス金利となり、30年国債も+0.72%という低い利回りとなっている。したがって、マイナス金利導入により、イールドカーブ(利回り曲線。償還までの期間=残存年数の異なる金利=利回りを線で結んでグラフにしたもの)全体を押し下げるという効果だけは確認される。果たして、予想インフレ率が上昇し、予想実質金利(=名目金利-予想インフレ率)が低下するかどうか?