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●クラウド/Flash/ソフトウェア・ディファインドが変化の鍵
エンドユーザー向けのストレージでは特に高い知名度を誇るデルだが、2015年10月にエンタープライズ分野に強いEMCを買収することを発表した。現在、統合を進めており、さらにストレージ分野での存在感を高めようとしているところだ。そうした中、ストレージ分野のVice President/General ManagerであるAlan Atkinson氏が来日。現在の世界的なストレージ市場におけるトレンドと、デルの対応について聞いた。

--最近のストレージ市場動向には、どのような動きがあるでしょうか?

Atkinson氏:現在、ストレージに留まらず、データセンター全体が大きく変わる原因となる3つの要素があります。1つはクラウドです。クラウドが浸透して行く中、それによってサーバも含めたストレージの買い方、使われ方が変化しています。さらに、そもそも誰がストレージを購入するのかということも変わってきているところです。

2番目の要素にフラッシュがあります。現在GBあたりの単価がかなり下がってきていることでFlashの採用例が増えているのです。全てHDDで組んでパフォーマンスを出すのではなく、フラッシュを取り入れていくというトレンドが加速しています。2012年時点のGB単価は、2016年の45倍です。それだけコストが下がってきているのです。

そして、もう1つの大きなトレンドはSoftware Defined(ソフトウェア・ディファインド)です。ストレージやデータセンターをソフトウェアで制御するこの仕組みにより、コンピュートセントリックな世界になってきています。

--デルのストレージに関する業績はいかがでしょうか?

Atkinson氏:全体としては堅調です。ストレージといっても外付けの専用装置のストレージと、サーバに格納されるストレージがありますが、マーケット全体の状況としては外付けストレージは横ばいから縮小傾向にあります。われわれは直近の4四半期で、外付けストレージ分野のシェア2位を獲得しています。

サーバに格納される内蔵型ストレージについては価格での比較が難しいため、外付けストレージと合わせた容量ベースで考えると、われわれは一貫してナンバー1、またはナンバー2に位置しています。グローバル全体の容量ベースシェアでは安定した業績を維持しています。

--3つの大きな変化があるということでしたが、ユーザーニーズも変化しているのでしょうか?

Atkinson氏:変化してきていると思っています。もちろんデータベースやメールといった従来型のニーズもありますが、5年前には存在しなかったようなニーズも出てきています。具体的にはビッグデータ、IoT関連、監視カメラなどです。これらの用途が貪欲にストレージを必要にするということで、新たなニーズが出ていると思います。

○EMCの買収でエンタープライズ分野を強化

--現在EMCの買収が進められていますが、デルはこれまでにも多くのストレージベンダーを買収してきました。その結果、製品名が多く、分かりづらい部分があったと思いますが、整理されてきたのでしょうか?

Atkinson氏:さまざまなブランドがあることでお客様にもパートナーにも分かりづらいということから、3年ほど前からDell Strageというブランドで統一する取り組みを行なってきています。1つのブランドの中で、大中小と提案できるようにしたのです。1ブランドで、ハイエンドのデータセンターから比較的小さな拠点のオフィスまで対応できるようにしました。

例えば、SCシリーズの価格帯は1〜数十万ドルの幅がありますが、フラッシュを搭載するのか、どういった構成なのか、パフォーマンスがどれだけ出るのかということで価格が違っており、ニーズに合わせた柔軟な対応が可能です。

--EMCの統合を進めていますが、この買収で何を得ようとしているのでしょうか?

Atkinson氏:デルとEMCでは違った強みを持っています。EMCはエンタープライズ分野で圧倒的なブランド力を持っており、デルはEUCにおいて非常に知名度が高い。その2つが合わさる相乗効果は大きく、最強のコンビが誕生するでしょう。買収の発表以後、さまざまなお客様やパートナーと話す機会がありましたが、ポジティブに捉えている方が多く、よい反応が得られました。

--具体的な姿が見えてくるのはいつ頃でしょうか?

Atkinson氏:現在、両社から数百人単位で集まり、統合計画を策定しています。最終的な統合手続きが終わるのは6〜10月頃の予定です。

条件として各国の規制当局の承認が必要なのですが、すでにEUからの承認が取得できました。今後、各国での承認を得ることになります。またEMC側では株主投票を実施する必要がありますが、こちらも数カ月以内の開催が予定されており、すでに準備が整っています。

●安くなればフラッシュを使いたいユーザーは多い!
--現在、ストレージはハードウェアで差別化が難しい状況となっていますが、デルとしては他社との差別化はどこで行っていますか?

Atkinson氏:ハードウェアの提供によりユーザーに価値を提供することは、ストレージに限らずIT全体で難しくなっています。いかにソリューションを提案して価値を出すかが求められている状況ですが、唯一の例外としてフラッシュがあると思っています。フラッシュ採用の壁となっていた価格面について投資を行い、知的財産やイノベーションを蓄積し、大幅なコストダウンを実現したことでハードウェアでの差別化もできたと考えています。

さらに、従来からサーバを強みとしてきたベンダーとしてSoftware Definedの世界にアドバンテージがあると考えています。ここにおけるリーダーとしての地位を確実にしていくことが差別化につながるでしょう。

また、ハイパーコンバージドの世界においてはNutanixと協業し、XCシリーズを出しています。こうした充実したパートナーエコシステムを持っていることも、われわれの価値だと思っています。われわれ自身の知的財産も含め、いろいろなパートナーの力を結集できるのも強みです。

--2015年のDell Worldでは「Future Ready」がテーマでしたが、ストレージ分野における「Future Ready」とは何でしょうか?

Atkinson氏:冒頭に申し上げた3つのトレンドは、今後IT資産を購入するうえで考慮していただく必要があると思います。将来を見越した取り組みとしては、データセンターにはHDDよりもフラッシュを導入していくことが有望でしょう。これからのデータセンターのあり方を考えると、より積極的にフラッシュを推進していきたいですね。

そして、Software Definedも大切です。サーバとストレージの境界がなくなり、フレキシブルなあり方が想定される将来に向けて、われわれではXCシリーズを用意しています。

また、そうした先進的な取り組みだけでなく、従来われわれが提供してきた価値も大きく見れば「Future Ready」につながります。データ移行をせずにコントローラだけを変更できるフォークリフトアップグレードや、1度購入したライセンスはずっと使い続けられる永続的ライセンスといったものは、お客様がすでに大きな投資を行なった既存のソリューションを最大限に活用していただけるためのものです。

--フラッシュが業界全体で非常に推されていますが、HDDの方がよい分野もあるのではないでしょうか?

Atkinson氏:5年先までに限定した場合、あまりアクセスされないコールドデータの格納先としてはコスト的にも容量的にもHDDのニーズがあると思います。われわれとしても、何でもフラッシュがよいとは思っておらず、ハイブリッド型のものも提案し、ニーズに合わせて選択していただけるようになっています。

ただし、オールフラッシュも堅調に伸びています。われわれの第4四半期の出荷台数は、第3四半期と比べて90%も伸びています。

--90%とは大きな伸びですが、なぜそれほど伸びたのでしょうか?

Atkinson氏:実は第3四半期に、他社に先駆けてTLCのフラッシュを投入しました。主要ベンダーとしては初めてのことでしたので、価格面に優れているということで飛びついたお客様が多かったのです。これは、経済性に優れたフラッシュがあればお客様は受け入れると証明した状態だと思っています。

--2016年のデルとしてのストレージ分野における注力分野はどこでしょう?

Atkinson氏:たくさんありますが、まずはSoftware Definedについては引き続き注力したいですね。フラッシュにおけるイノベーションも推進していきたいと思います。今後、数カ月にわたり、さまざまなイノベーションを搭載していくので、順調な伸びが期待できると思っています。

実際、すでに昨年からいろいろな取り組みを行ってきています。昨年はストレージ市場全体には厳しい1年となりましたが、そのおかげでSCシリーズは前年比18%の伸びがありました。この勢いを維持していきたいと思っています。

○VDI分野などでXCシリーズが伸び!日本でもSDSの採用例は増えている

日本市場については、デル ストレージ・ビジネス本部の本部長である小島由理夫氏が語ってくれた。

--日本におけるユーザーニーズはどのあたりにあるのでしょうか?

小島氏:日本でもビッグデータやIoTといった需要はありますが、VDIの需要も伸びていますね。コンベンショナルなストレージと、Software DefinedのXCシリーズがかなりVDIで使われています。

--始業時に集中する負荷にフラッシュで対応するというような需要ですか?

小島氏:それもありますが、XCシリーズは拡張していけるのがポイントです。ユーザーが増えた時や、負荷が大きくなった時にはノードを足すことで対応できます。コンバージドインフラストラクチャですので、CPUとストレージが同時に増えていくのです。そういう意味でVDIに向いていますね。

SDS(ソフトウェア・ディファインド・ストレージ)については、日本では金融分野で特定のワークロード向けに採用がはじまりました。日本のお客様もアグレッシブにSDSを導入しています。

また、ヘルスケア分野で利用データをアーカイブするというような需要もありますね。法律で10〜15年の保存が義務づけられていますが、普通のストレージではハードウェアの保守期限があるので対応が難しいのです。SDSならソフトウェアが動いている状態ですから、ハードウェアを取り替えながら対応することができます。

--日本ではあまり盛り上がっていなかったビッグデータでの利用も、最近増えてきているようですね?

小島氏:IoTのおかげですね。データがどんどん発生してしまうので、それを貯めてアナリシスするというのが大きなニーズだと思います。

たとえば大手製造業で、1000本の生産ラインにIoTの装置を入れてデータを取得し、歩留まり率や製造ラインの運行管理などを行おうとしている例があるのですが、そういうところでSCシリーズが採用されています。

--IoTで伸びたということは、マーケティング分野はまだまだということでしょうか?

小島氏:マーケティング分野の実例もかなりあります。たとえばインテージグループで採用していただいているのですが、データを分析して、その分析結果を販売するビジネスです。そこで必要となる高速ストレージとしてSCシリーズが選ばれました。

--マイナンバーや2020年に向けた取り組みなど日本独自の流れはありますか?

小島氏:2020年に向けてという意味では、サーベイランスの需要がありますね。オリンピックでさまざまな人が訪日する中、データを取得しておこうという時に、安価な格納先としてSDSというような案件は結構あります。

マイナンバーについてはセキュリティが切り口になりますが、SDSを採用することでどんどん切り分けてセキュリティを担保しようというやり方がありますね。こちらは地方自治体からの案件で出てきています。

(エースラッシュ)