日本は守備をベースにしながら、僅差のゲームをものしてきたが、今大会はそうした流れに持ち込むことはできなかった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 女子リオ五輪アジア最終予選は、オーストラリアと中国が本大会への切符を手にした。3月9日の最終節を待たずに敗退が決まった日本は、ベトナム戦で大会初勝利を挙げたが、アテネ五輪から続く五輪出場が途絶えてしまった。いったい、なでしこジャパンになにが起こっていたのか。要因としては、「必勝パターンの崩壊」「修正力の欠如」「ハードワーク不足」が挙げられるだろう。
 
チェック
【必勝パターンの崩壊】
 日本は2011年のワールドカップ優勝以降、守備をベースに勝利を掴んできたチームだ。「体格、パワー、スピードで劣っている」(川村)日本人選手が、どうやって渡り合うのかを考えた時に、チーム一丸となってカバーし合う守備に辿り着いた。前半を無失点で守り切り、相手の運動量が落ちてきた後半に自分たちのリズムに持ち込んで、ギリギリの試合をモノにするのが、日本の必勝パターン、いわゆる“自分たちのサッカー”である。
 
 しかし、オーストラリア戦で対策してきたはずのクロスから先制を許すと、パスが審判に当たるアクシデント的な失点を挟み、再びクロスからゴールを決められ、3失点を喫した。「みんなで守ってから」(宮間)のコンセプトを体現できなかったことで歯車が狂い、その後の戦いを難しいものにしてしまったことをキャプテンの宮間も認めている。
 
 韓国戦ではGKとDFのコミュニケーションミスで失点して勝点2を取りこぼし、中国戦でもバックパスをさらわれるイージーミス。ベトナム戦のPK献上にしても、岩清水の対応はもとより、それ以前にペナルティエリアに簡単に侵入させすぎていた。
 
 11年のドイツ・ワールドカップ以降、1失点以上の試合の結果は14勝7分17敗(勝率36.8パーセント)、2失点以上に限れば1勝2分17敗(勝率5パーセント)と分が悪い。ベトナム戦まで全試合で失点(うち2試合で複数失点)では勝機が少なかったと言わざるを得ない。
 
 近賀が「守備が脆いと、チームとしても脆い」と自省するように、守備が崩れたら立ち返るべきところを失い、悪い流れを食い止められなかった。結局、自分たちの必勝パターンに持ち込めなかったのが大きく響いた。
 
 
チェック
【修正力の欠如】
 今大会における、他国の“日本対策”は凄まじかった。宮間の言葉を借りれば、「他のゲームを見て、こういう風にやってくるだろうという戦いはどこもしてこなかった」ほどで、スカウティングしていざ対峙したら、対日本用の特別シフトが組まれていた。そこに対して、試合中の修正力を欠いたことも、結果に大きく響いた。
 
 オーストラリア戦は、前からプレッシャーをかけてくる相手に対してボールを動かし切れず。逆に「(高さを活かして)ロングボールを狙って来る」(熊谷)と予測していたところに、サイドからのクロスを中心とした攻撃に、戸惑いを隠せなかった。前述したようにクロス自体は合宿で「とことんやってきた」(鮫島)はずだが、後手に回ってしまったのだ。中国戦に関しても、「違うボールの動かし方をしてきた」と岩清水は証言している。
 
「研究されているのはどの試合も感じました。どの相手も、奪った後の素早い攻撃だけを目指している。今までのオーストラリアだったら、クロスよりは縦に速いサッカーをしてきたところを、きっと自分たちの弱点だと見てそういう攻撃を仕掛けてきたと思います。守備においても、(私たちに)ボールをある程度まではつながせて、そこで奪って一発というのを徹底していたと思います」
 
 日本は大会直前の合宿では、ポゼッションに重きを置いて練習に取り組んできた。アジアでは世界大会と比べてボールを持つ時間が増える、との予測が読み取れるが、ボールを握れていたのではなく、ある程度“握らされていた”側面があり、コンビネーションプレーでの局面打開もパスミスを連発して失敗。逆に当初はオプションにはなかったロングボールを多用するハメになってしまった。