若返り」と「アンチエイジング」は別物(shutterstock.com)

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 私たちのクリニックでは、多種多様の美容医療施術をご提供しています。大きく分けると、顔の形成に関わる施術、お肌の施術、ボディ(痩身、汗・ニオイ)、毛髪など多岐にわたります。

 その中でも顔の「若返り・アンチエイジング」治療は、受診される患者様の多くを占める診療項目です。シワ、たるみ、くぼみ、こけなど年齢を重ねるにつれて多くの女性が気にする老化症状をケアしていきます。

 ところで、診療項目としては一つのカテゴリとしてくくられた「若返り」と「アンチエイジング」ですが、実はこの2つは似て非なるもの。その意味は大きく異なります。

 美容や健康に関心の高い方であれば、どちらの言葉も聞いたり使ったりされることがあるかもしれませんが、正しく使い分けられている方は少ないかもしれませんね。美容外科医からすると、「若返り」と「アンチエイジング」は、すみ分けて認識いただきたい、ということで今回のキーワードとさせていただきます。

「3年前、5年前に戻る」か「3年後、5年後も変わらずいる」か

 改めて解説しましょう。まず「若返り」ですが、文字通り今の年齢よりも3年前、5年前に戻る、つまり時計の針を巻き戻したかのように見た目を若返らせる、というものです。具体的にいえば、今あるしわ、たるみをなくす、目立たなくすることを前提とした治療を指します。

 一方で「アンチエイジング」とは、これから先、3年後、5年後も変わらずにいられることを目指します。老化に抗う、つまり将来のしわやたるみを阻止したい、またはそれらの進行を遅らせたい、そのためのケアをするのが「アンチエイジング」です。

 私は今から約2年前に、PRP皮膚再生療法という注射を自分に打ちました。40代を迎え、ほうれい腺が目立ってきたからです。「ああ、老けたなあ」と感じたのです。この行動は先でいう「若返り」です。

 ほうれい線にPRPを注射することで、昔の自分に戻したかったのです。これまで注射や手術、機器といった若返り施術を数えきれないほど手掛けてきた自負はありますが、正直、自分への注射は初めてでした。本当はもっと早く打ってもよかったのですが、痛いのが嫌い、怖い、という何ともお恥ずかしい理由から、若返りへの対処を避けていたのです。

 PRP皮膚再生療法は聖心美容クリニックが誇る代表的な治療ですが、自分には利用しなかった......。注射後、気になっていたほうれい線は、何事もなかったようにごく自然に改善しました(そして、私も無事、若返ったなと満足しています)。

 続いては「アンチエイジング」の具体例です。クリニックで働くスタッフを例に説明しましょう。

 私たちのクリニックでは、医師のほかに、看護師とカウンセラーが働いています。彼女たちは医師の右腕となって診療にあたってくれる、とても心強い仲間です。20〜30代が中心世代ですが、美容好きがそろっており、美容医療のことも大変よく勉強しています。自分たちの施術経験も豊富で見た目の美しさを心掛けているスタッフたちです。

 美肌治療やたるみ施術など、年齢的に見ると「まだ必要ないのでは?」と思う施術にも興味を示し、実際に自分で受けてみます。もちろん、実体験を通して患者様にご提案する、という使命があるからですが、患者さんの診療や手術にも毎日立ち会っているので、施術のプロセスやダウンタイムは熟知しています。

 一般の方に比べたら、彼女たちの中に「怖い」「不安」といった余計なハードルはありません。毎日、きれいになっていく患者さん、若々しくなっていく患者さんを見て、自分たちもそうありたい、そのために今からメンテナンスしておこう、という純粋な想いを持っているからです。つまり将来へ向けた「アンチエイジング」への意識がとても強いのです。これが「アンチエイジング」の例えです。
美容医療は「ハイリターン型の投資」

 世の中には見た目を若く、美しく見せる手段があふれています。美容医療もその手段の一つです。美容外科医として、メリットもデメリットも知り尽くした私が皆さんにアドバイスするならば、美容医療はいわば「ハイリターン型の投資」として活用いただきたい、ということでしょうか。

 「老化」は日々の出費で、重ねられていくものです。20代、30代、40代、と年齢を重ねるともに、「老い」という出費がかさみ、いつしか取り戻すことが難しい「老化赤字」を迎えます。長寿社会の現代、「いかに生き永らえるか」は私たち自身にゆだねられています。

 美容医療を活用するならば、定期的な投資で若さを補い維持する「アンチエイジング」か、一気に大きく投資して若さを取り戻す「若返り」か、そう考えていただくと、医療だからこそ医学エビデンスに基づくハイリターンがある美容医療について、理解していただきやすいかもしれません。

 一方で「ハイリターンがあるからには、ハイリスクを伴うのでは?」という声が聞こえてきそうですね。リスクを挙げるなら、痛みや腫れといった身体的負担でしょう。傷・痛みを伴ってリターンを受けとるのが美容医療であることは現実です。

 でもご安心ください。痛みやダウンタイムをゼロにすることはできませんが、それらを軽減する方法・工夫はかなり進んでいますし、メンタル面でのケアについても一同さまざまな点から心がけ診療にあたっています。いつかこの記事をお読みの皆さんとお会いすることがあれば、もちろん、そんな全力診療をご提供するつもりです。


伊藤康平(いとう・こうへい)
聖心美容クリニック東京院院長。日本美容外科学会(JSAS)専門医、日本美容外科学会(JSAPS)会員、日本美容外科医師会会員、日本外科学会専門医など。冷静・的確なカウンセリングや美容外科医としてのセンス、技術に定評。年代を問わず幅広い支持を受けている。趣味は車やスキー、オーディオなどの電化製品、料理、熱帯魚観賞と幅広く。
聖心美容クリニック www.biyougeka.com