噂の“マイナス金利”で私たちの貯金やローンはどうなるの?

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2016年2月16日、日本銀行が「マイナス金利政策」を導入した、というニュースは記憶に新しいところですよね。

その目的は、“銀行などの金融機関に企業への貸し出しを促し、景気を回復すること”とされていますが、「マイナス金利」と聞いて「貯金をすると金利が取られる?」と思った人も多いはず。

では、マイナス金利政策は、私たち個人の貯金やローンにどういう影響を与えるのかを今回は考えてみましょう!
マイナス金利とは?
日本銀行が導入したマイナス金利政策とは、銀行などの金融機関が日本銀行に持っている当座預金の「一部」に金利がかかるということで、日本銀行に当座預金を持っていない一般個人に直接マイナス金利がおよぶわけではありません。

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さらに、「一部」というのは、今回のマイナス金利導入では、日本銀行の当座預金の残高は次の3段階に分けられ、マイナス金利になるのは3の部分だけだからです。

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1.各金融機関の2015年1月〜12月の平均残高(金融機関が任意で預けている残高) ←金利+0.1%が適用(旧:+0.1%)

2.各金融機関の預かり残高に応じて預ける法定準備額など(金融機関が義務で預けている残高) ←金利0%が適用(旧:+0.1%)

3.1、2の金額を上回る残高(金融機関が任意で預けている残高) ←金利-0.1%が適用(旧:+0.1%)

※2016年2月時点

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つまり、銀行などにとって、事実上は2016年以降の新規預金分といった新規の余剰金の運用先に困るだけということ。

マイナス金利政策のねらいは、民間銀行が余剰金を日本銀行の当座預金ではなく企業などへの融資に回すことです。ですが、短期的には、銀行は余剰金で国債を買っているため、なかなか融資に結びついていません。
私たちの預金はどうなる?・・・「貯める」編
では、私たちの預金はどうなるのでしょうか? 日本銀行のマイナス金利政策発表以降、メガバンクをはじめとする銀行や信用金庫などでは、普通預金金利や定期預金金利の引き下げが続出しています。

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マイナス金利導入以前、銀行などは余剰金を日本銀行の当座預金に預けて0.1%の金利を受け取っていました。その一方で、預金者には0.1%を大幅に下回る預金金利を支払い、その差益分(=利ざや)を儲けていたのです。

しかし、マイナス金利導入以降は利ざやによる商売が成り立たなくなります。けれど、預金金利の引き下げはあっても、銀行などが「一般の預金者から預金に対して利息を取ることはまずない」と見られています。

ただし、利ざやがなくなることによって金融機関の収益が悪化し、口座維持手数料の徴収やATM手数料の値上げといった“手数料”を見直す銀行が出てくる可能性があります。
私たちのローンはどうなる?・・・「借りる」編
一方、ローンはどうなるのでしょうか? 住宅ローンについては、金利を下げる銀行が続々と出てきています。

銀行側にとって、マイホームという土地・建物を担保にした住宅ローンは安定運用先の代表格です。

これから住宅ローンを借りる人や、変動金利タイプの住宅ローンを借りている人にとっては、マイナス金利政策は追い風になります。

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「住宅ローンの金利が下がるなら、カードローンの金利も下がる?」と期待する人もいるかもしれません。しかし、無担保であるカードローンやキャッシングの金利が下がる可能性は低いでしょう。

ローンの金利はリスクと深く関係していて、リスクが低い、つまり貸し倒れリスクが低いローンは金利が下がる余地がありますが、リスクが高い、すなわち貸し倒れリスクが高いローンは金利が下がる余地がありません。

銀行などの金融機関にとって、低リスクローンの代表格が住宅ローンなら、高リスクローンの代表格がカードローンやキャッシングです。

ただし、金融機関の審査で「貸し倒れリスクが低い」とみなされれば、ケース・バイ・ケースでカードローンやキャッシングの金利が低くなる可能性はあります。

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預金金利は軒並み低下、ローン金利で下がるのは住宅ローンくらいでは、マイナス金利政策の恩恵は消費者にとって少なく見えます。

余裕資金がある人は、株式などに投資をして長期的に企業の業績向上に賭けるという手もあるでしょう。余裕資金がない人は、企業の業績向上が雇用安定や給与アップにつながるまで耐えるしかないのかもしれませんね…。

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<プロフィール>

おおいみほ

ファイナンシャルプランナー(AFP)/二級ファイナンシャル・プランニング技能士

銀行にて、預金商品やローン商品、クレジットカード商品のマネジメント業務を経て、現在はウェブサイトなどのマネー関連記事の執筆、個人投資家として活動中。

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