86分から途中出場すると、短い時間のなかで横山、大儀見のゴールに絡む活躍を見せた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 リオ五輪への道が閉ざされた状態で迎えたベトナム戦、キャプテンの宮間あやは今大会で初めてスタメンを外れた。ピッチに立ったのは4-1と試合の大勢が決した86分。90分、90+3分とゴールに絡み、4戦目にしてようやく大会初勝利を手にし、背番号8にわずかに笑みがこぼれた。今大会初の複数得点となる大量6ゴール。「なぜ、ゴールを取れたのか?」と尋ねられた宮間は、“連動性”を挙げた。
 
「純粋に、チームが連動していたから得点が入ったと思います。ほとんどのシュートシーンで、周りの選手も動いていたし、チームとして、味方のために戦えた。相手云々ではなく、そういう小さなところの積み重ねかなと」
 
 しかし、話題が4大会連続の五輪出場を逃したことに及ぶと、一気に表情が曇る。自分たちが世界の舞台を経験できないだけでなく、アテネ大会から女子サッカーが紡いできた歴史を途切れさせてしまった――。自責の念が次々と宮間の口を突く。
 
「先輩たちが受け継いできてくれて、自分たちも五輪やワールドカップを経験できたなかで、繋いできたものを途絶えさせてしまった。そして、次のワールドカップや東京五輪を目指している女子選手たちが、五輪を戦う機会を逃してしまったことに、(キャプテンである)自分は責任を感じています。失ったものはすごく大きいし、すべての方々に申し訳ない気持ちでいっぱいです……」
 
「すべてが足りなかった」と実力不足や、五輪出場を逃した現実を真摯に受け止める宮間が唯一否定したのが、決して自分ひとりで背負い込み、自分だけが責任を感じているわけではない、ということ。キャプテンという立場ゆえ、責任感の強さゆえの“宿命”でもあるが、チームメイトたちは常に自分を支えてくれたと主張する。
 
「皆さんにお願いしたいのは、私だけが責任を感じている、というのを聞くんですが、それは私が一番嫌なこと。チームメイトたちはつらい時も、楽しい時もいつも一緒にいてくれている。もし、そういう風に見えるなら、悪いのはチームメイトではなく、私の性格。ここまで一緒に戦ってきて、五輪の切符を掴めなかったのは、キャプテンである自分の責任だと思っています」
 
 大会は残すところあと1試合。すでに五輪出場の可能性は消滅してしまったが、北朝鮮戦を単なる“消化試合”にするつもりは毛頭ない。今後のなでしこジャパンを見据える意味でも、「もう一度、どのように世界に挑んでいくのか、自分たちの戦い方を整理し直さないといけない」とテーマを掲げる。
 
「日本代表としての責任を持って、(北朝鮮戦で)自分たちが積み上げてきたことはなんだったのか、きちんと証明したい。私自身も、キャプテンとしてやるべきことを最後までやるつもりです」
 
 最後までキャプテンらしく――。そんな宮間は、北朝鮮戦でどんな“答”を見つけるのだろうか。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)