広東省東莞市のメディア「東莞時間網」は7日、「匠の精神は舶来品ではない。東莞にも匠はいる」と題する記事を配信した。(イメージ写真提供:(C)sophiejames/123RF.COM。江蘇省・周荘鎮で撮影された伝統的な機織り)

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 広東省東莞市のメディア「東莞時間網」は7日、「匠の精神は舶来品ではない。東莞にも匠はいる」と題する記事を配信した。日本やドイツでは「匠の精神が発揮されている分野」が多いと紹介。中国では近代以降、古代には旺盛だった「匠の精神」が不完全にしか伝えられなかったと認めた上で、地元の東莞市でも伝統工芸の分野では「匠」が息づいていると主張した。

 中国では2014年好感から、日本を観光する自国民が、日本製の家電製品や日用品を「爆買い」をする様子がしばしば報道され、多くの人が日本製品のよさを改めて認めることになった。「自国製品の差と日本製品の差はなぜ生じる?」との議論も盛んになり、日本には「匠の製品」が根づいているとの指摘が相次いだ。

 李克強首相が5日に人民代表大会に対して行った「政府工作報告」にも、中国が進むべき道のひとつに「匠の精神の育成」が盛り込まれた。政府工作報告に日本などの国名が記載されていたわけではないが、メディアは改めて日本やドイツの「匠の精神」に注目することになった。

 東莞時間網はまず、日本の「匠の精神」の特長として、「妥協せず自らの技術を向上させていくこと」、「いったん手がけたら、利益は度外視して全身全霊で完成の域に高めること」と紹介した。

 ドイツについては、シューマッハ(靴職人)、シュナイダー(仕立て屋)、シュミット(鍛冶屋)など、職人の種類にちなむ制が極めて多いと指摘。ドイツでは専門技術を持った職人と科学者の間に大きな溝がないと論じ、職人の技術は人々に尊敬されてきたと紹介した。(イメージ写真提供:(C)sophiejames/123RF.COM。江蘇省・周荘鎮で撮影された伝統的な機織り)

 「匠の精神」と現代における例としては、日本の精密歯車や江戸前の握りずし、ドイツでは高級腕時計や音響機器を挙げた。

 記事は、中国もかつては「匠の国」だったと主張。紀元前2世紀の馬王堆漢墓から出土した副葬品を実例として、近代以前は世界各地の人々が中国産の絹製品、陶器、宝飾品を追い求めたと紹介。「中国の匠の作品は、世界に影響を与え続けた」と論じた。

 記事は続けて「近代になり、中国人の匠の精神は不完全にしか伝えられなかった」と指摘し、「多くの人は目先の利益を求めるようになり、手っ取り早い金儲を求め、学びも“インスタント”式というよくない心理状態になった。匠の精神は失われ続けた」と、嘆いた。

 さらに、大規模な工業化により、伝統文化たる工芸が生き残るのは、さらに難しくなったと指摘。中国は今後、きめ細かさのある製造業を進めて行かねばならないが、伝統工芸も保護せねばならないと主張。伝統工芸の保護とは、伝承だけでなく、中国の匠の精神の保護でもあると論じた。

 記事は、東莞市にも伝統的な工芸品の製作者、つまり「匠」が残っていると指摘。伝統的な飾りつけや刺繍、布製スリッパ、太鼓、人形、ランタンづくりの技が伝えられているとして、製造業がさかんな東莞市としては、特に熟練職人の仕事に対する集中力や、自分の仕事を大切にする心に注目せねばならないと主張した。(編集担当:如月隼人)