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京セラは、2016年2月22日〜25日までスペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2016」において、ソーラー充電に対応したスマートフォンのプロトタイプを出展した。

同社は2015年にも同様のプロトタイプを出展していたが、2016年は充電効率が大きく向上するなど、さらに製品に近いプロトタイプに進化。将来的には一般向けのスマホにも広くソーラー充電機能が搭載される可能性が見えてきた。

果たしてソーラー充電の実際のところはどうなのか。MWC2016の会場で京セラの通信機器事業について語った経営戦略部長の能原隆氏の話を交えながら、その可能性を探っていきたい。

○最も効率的な「ディスプレイ全体」でソーラー充電に対応

一般に、家電製品における太陽光充電といえば、電卓などに搭載されている黒いソーラーパネルをイメージする人が多いはずだ。そのため「ソーラー充電スマホ」といえば、本体の背面などに充電パネルを貼り付けた製品を想像するかもしれない。

だが、京セラが仏サンパートナーと共同開発したソーラー充電スマホは、そうしたイメージとは裏腹にディスプレイ全体をソーラー充電のために利用できる。タッチパネルと液晶パネルの間に、透明なソーラー充電パネルを搭載しているのが特徴だ。

こうした構造を採用した理由として、まずスマホの本体前面にはほとんど余白がない。一方、本体背面は大きなスペースがあるものの、光源とは逆の方向を向いていることが多く効率が悪いといった問題がある。もっとも光を集めやすい場所はディスプレイだ。

だが問題は、完全に透明なパネルではソーラー充電が難しいという点だ。画面を暗くすればするほど発電効率は良くなる一方、人間にとっての画面の視認性は悪くなる。そのバランスを突き詰めたところ、最新のプロトタイプでは透過率を85%としている。

具体的に85%とは、どれくらいだろうか。一見したところ「明るい」という印象はないものの、「明らかに暗い」とは感じなかった。他のスマホを横に並べると「たしかに暗いことが気になるかもしれない」というレベルだ。

気になるのは、その充電速度。残念ながらソーラー充電だけでは、バッテリーが空のスマホを100%まで充電するほどのパワーを得ることは難しそうだ。この点について能原氏は、「ソーラー充電があればバッテリー駆動の時間が延びる、という言い方をしていきたい」と説明する。ケーブル接続による通常の充電に加えて、ソーラー充電を追加した「ハイブリッド充電」を、という使い方が現実的な方向性だという。

製品化の目処については「できるだけ早く出したいが、2017年くらいをめどに発売できるよう開発を進めている」と能原氏は語る。

○「ママ向けスマホ」など他製品への応用にも期待

ソーラー充電が実際の製品に搭載されるのはまだ先のことだが、今後の展開には大きく期待できる技術だ。プロトタイプは、京セラが海外で"Rugged"と銘打って展開するタフネスモデルのようなイメージだが、「技術的には一般的なスマホに搭載することも可能」と能原氏は説明する。

京セラは「TORQUE」のようなタフネスモデルを、法人向けには業務用スマホとして、個人向けにはアウトドアなどスポーツ用スマホとして、国内外で展開している。だが、こうした「見るからにタフネスモデル」ではない京セラ製スマートフォンにも、防水防塵や耐衝撃性といった技術は応用されている。

その代表例が、KDDIが「ママ向けスマホ」として売り出した「DIGNO rafre」のような製品だ。ハンドソープで洗えるという、一見するとソフトなイメージのある製品だが、そこには京セラがタフネス端末で培った技術的な裏付けがあるというわけだ。

こうした京セラの製品ポートフォリオ全体を眺めてみると、そこにソーラー充電が加わることの意味の大きさが分かるはずだ。2017〜18年ごろには、京セラのスマホといえばソーラー充電対応が当たり前、という時代がやってくるかもしれない。

(山口健太)