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今回は「スイーツについて」である。

わかっていると思うが、(笑)の方のスイーツではない。もちろんそっちについて語れと言われたら、完結より先に作者が寿命で死ぬぐらい壮大な悪口列伝を開始するつもりだ。

しかし残念ながら、このコラムはそれを語るには文字数が少なすぎて、序章の序章、走れメロスで言うところの「カレー沢が激怒して、かの邪智暴虐のゆるふわを除かんと銅の剣と50ゴールドを手に入れた」ところで終わってしまうため、泣く泣くスイートな方のスイーツについて話そうと思う。

○カレーは飲み物、おにぎりはデザート

私の主食はペペロソチーノだが、もちろん甘い物も好きだ。ケーキが好きだ、チョコレートが好きだと、だんだんヘルシングの少佐の演説みたいになり、最終的に「クリーム!クリーム!クリーム!」と一人で拳を突き上げ叫んでいることもしばしばである。

つまり太りそうなものは大体好きであり、最近では好物を尋ねられたら「カロリー」と答えるようにしている。よって大体の菓子は好きなのだが、1番は何かと問われたならば、答えは「甘いパン」である。

「それは、主食じゃないか」と思った方は認識が甘い(スイーツだけに)。デブにとってカレーが飲み物であるのと同じように、甘いパンはデザートなのである。ちなみに甘くはないが、コンビニのおにぎりもデザートに分類される。夕食をしっかり食べたあと、部屋に戻りデザートとしておにぎりを食べるのだ。

むしろ、コンビニに売っている食べ物は全てデザートと言っても良い。つまり私にとってコンビニというのは、モロゾフやヨックモック的存在なのである。

こういった食べ物やコンビニの話になると、いつもローソンの手先のようになってしまうが、甘いパンにおいてもローソンの、モチモチしたパン生地にチョコレートが折りこんであるパン(割と名前がコロコロ変わるパンなのでこう表現させてもらう)がおススメである。一時期はこれを毎日食べており、調子がいい時には2個という日もあった。美味いのはもちろんのこと、値段も百円ちょっとと、コンビニパンの中でもリーズナブルな方だ。異常にでかい皿の上で、片づけが出来ない女の部屋みたいな盛り付けをされているオシャレカフェスイーツを食っている暇があるなら、こっちを食べてもらいたい。無論主食ではなく、デザートとして。

○小食な人に勧める「ヘルシー」なスイーツとは

しかし世の中には、しこたま飯を食ったあと菓子パンを食うのは無理だという、昆虫のように小食な方もいることだろう。そんな方にお勧めのスイーツは「M&M'S」である。

「M&M'S」とは平たく言えば、アメリカの会社が作っているマーブルチョコだ。構成要素はほとんど一緒なのだが、中のチョコレートの質が違う。マーブルチョコのチョコは滑らかだが、M&M'Sは多少ガサガサしている。

ところで、三十を過ぎて同年代の人間と食事をすると「だんだん肉より魚の方がおいしく感じるようになってきた」「薄味の方がいい」という話になることが増えた。その場でこそ話を合わせるが、当方、実はいまだに欧米の肥満児みたいな味覚をしているため、このアメリカ産特有のガッサガサしたチョコが大好物なのである。

それに、M&M'Sはとても健康的な菓子なのだ。もしポテトチップスをおやつにしたら、早すぎて開けた瞬間空になっているかのように見える超スピードで食べてしまうため、全然長持ちせず、自ずと2袋目に手が伸びてしまう。それに比べ、M&M'Sは砂糖でコーティングされたチョコなので、砂糖部分を口で溶かしながら食べることができる。この方法により、ポテトチップスなら長くて30秒で食べ終わるところを、M&M'Sならば一袋につき10分ぐらい持たせることが可能なのだ。

一時間あたりで換算すると、ポテトチップスなら約500kcalの物を120袋食べることになるため、6万kcalも摂取してしまうことになる。だがM&M'Sなら、320kcalの物を6袋食べるだけで1時間が経過するため、たったの1920kcalで済むのである。

このように、M&M'Sは、他の菓子に比べ遥かにヘルシーであり。ダイエット菓子を不味い不味いと言いながら大量に食っている暇があるならこっちを食った方が良い。ちなみに、成人女性が1日に摂取すべきカロリーは大体2000kcalと言われているが、何事も数字だけでは推し量れないものである。

このように、私は普通よりは大食いである上にかなりの早食いだ。「どうせ食うことぐらいしか楽しみがないんだろうから、もっとゆっくり食えばいいのに」と思われるかもしれないが、実はこのスピードこそが重要なのである。

空腹は最高の調味料と呼ばれるように、腹が減っていれば減っているほど、飯は美味い。ゆっくり食べているとその間に脳の満腹中枢が満たされてしまい、食べ終わるころにはあまり美味いと感じなくなくなってしまうのだ。つまり早く食べることにより、飯を最後まで空腹状態の美味さで食べることができる上、食べ終わっても満たされていないため、食後のおにぎりという大技を繰り出すことが可能になるのだ。

「真に食を楽しもうと思ったら、まず己の満腹中枢を越えて行く」。道を極めようとする時、いつも敵は自分自身なのである。

<作者プロフィール>
カレー沢薫
漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年、文庫版2015年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。「やわらかい。課長起田総司」単行本は1〜2巻まで発売中。

「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」、次回は2016年3月15日(火)掲載予定です。

(カレー沢薫)