「なでしこジャパンの選手はポジショニングやタイミングが上手なので常々見ていましたが、(リオ五輪予選直前の)沖縄合宿で、球際の守備も最低限できなければいけないと感じました」
 
 五輪予選はラ・マンガでの試合日と重なったため、しっかり映像を見られていないという。それでも第3戦の中国戦はホテルの部屋で、全員で応援した。予想もしなかった敗戦を彼女たちはどう感じたのだろうか。
 
「女子サッカーを盛り上げて来てくれた先輩方がいるなかで、オリンピックに行けないとなったら、世間的には応援されなくなるのではないかと……、その不安はもちろんあります。けれど、また盛り上げていくのは自分たちだと思っています。先輩たちが築き上げてきてくれたものに上積みするためにも、まずは自分がなでしこジャパンに入らないと話にならない。もっと成長したいです」
 
 大会中に、猶本は22歳の誕生日を迎えた。その貪欲な向上心が、彼女をどのように成長させていくのか楽しみだ。
 
 五輪予選敗退が決まった日本女子サッカー界は、大きな損失を被った。しかし、そんななかで今大会のU-23の活躍は、なでしこの未来に希望を抱かせてくれるものであった。
 
取材・文:松原 渓(スポーツライター)