ラ・マンガでは全3試合に先発出場した猶本。攻守に存在感を見せつけた。(C) Getty Images

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 青々とした芝生に陽光が眩しく反射し、地中海からの強い海風が吹きつける。
 
 大阪でリオ五輪出場を懸けた最終予選が行なわれているなか、リゾート地として知られるスペイン・ムルシア州のラ・マンガでは、例年通り「ラ・マンガ国際大会」という女子サッカーのユース年代の国際大会が開催された。
 
 3月2日から3月6日に行なわれたこの大会で、U-23日本女子代表は輝きを放った。第1戦のノルウェー戦を4-0で制すと、続くスウェーデン戦は2-0、最終戦のドイツ戦には1-0で勝ち、3連勝を収めた。すべての試合で日本は相手の倍以上のシュートを放つなど結果だけでなく内容も伴った勝利だった。
 
 チームを率いたのは、U-20日本女子代表の指揮も執る高倉麻子監督。2年前のU-17女子ワールドカップで“リトルなでしこ”を世界一に導いた智将は、短期間でチームにある共通意識を植え付けた。それが、一人ひとりが判断スピードを上げ、ピッチを広く使ってテンポよくパスを繋ぐこと。そこにリズムの変化と攻撃のギアチェンジを加え、相手を翻弄した。
 
 このチームでキャプテンを務めたのは、猶本光だ。
 
 猶本はリオ五輪最終予選の直前合宿に参加していたが、25日に発表された最終メンバー20人には入れず。しかし、直後にラ・マンガ国際大会への参加が決定し、悔しさは新たなモチベーションに変わった。
 
「海外の選手と対戦する感覚は、日本でプレーする時とはコンタクトの強さや足のリーチの長さ、スピード、裏に蹴って来るタイミングが違う。ラ・マンガに来て、国際経験を積めたことに感謝しています」
 
 今大会、猶本はボランチで全試合に先発し、攻守で躍動した。視野の広いボール捌きでゲームを組み立て、ノルウェー戦ではFW顔負けの飛び出しから先制ゴールも決めた。なかでも3戦目のドイツとの対戦には特別な思いで臨んだという。
 
「今回、ドイツは20歳以下のチームで来ていると聞きました。ドイツには20歳以下のワールドカップで負けているので、絶対に負けたくないんです」
 
 2012年に日本で行なわれたU-20女子ワールドカップ準決勝、スピード、パワー、ゲーム運び、すべてにおいて日本はドイツに圧倒され、0-3と文字通りの完敗を喫した。試合終了の笛が鳴ると、猶本はしばらく立ち上がれなかった。
 
「世界ってこういうものなんだ、と知りました。もっと上手くなりたいです」
 
 試合後に泣きはらした目で語ったそのあどけない表情は、3年の時を経て凛々しいリーダーの顔に変わっていた。今大会では体格差のあるドイツに対し、コンタクトプレーを恐れずに身体を張り、無失点勝利に貢献。90分間声を張ってチームを鼓舞し、守備をサボる味方には容赦なく喝を入れた。
 
 「才色兼備のサッカー選手」はメディアが放っておかず、サッカー以外の話題で注目されることも多い。しかし、本人はいたって硬派だ。サッカーに対するプロフェッショナルな姿勢は高倉監督も高く評価する。
 
 常に上を目指すブレない芯の強さがあるからこそ、なでしこジャパンで受けた刺激は自分を変えるきっかけになったという。初めて招集されたのは、2014年5月のアジアカップだった。
 
「なでしこジャパンの練習に参加して感じたのは、ピッチの真ん中に立つ選手は常に周りに要求しなければいけないということ。それができない理由は、自分がサッカーを分かっていないからだと感じました。それ以来、海外サッカーや動画を見て戦術的なことを学んでいます」
 
 元々、前線への飛び出しやミドルシュートを武器とする攻撃的なボランチだが、最近は守備で身体を張る場面も増えている。