セルジオ越後氏、五輪予選敗退は「選手に頼り切っていたから」「組織を見直すいい機会」

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 日本で開催されているリオデジャネイロ・オリンピック 女子サッカー アジア最終予選は第4節までが終了し、1試合を残してなでしこジャパン(日本女子代表)の予選敗退が決定。2000年のシドニー大会以来、4大会ぶりにオリンピック出場を逃すこととなった。

『サッカーキング』ではサッカー解説者のセルジオ越後氏に、なでしこの五輪予選敗退について聞いた。

「世代交代の遅れや対戦国の研究ができていなかったことは間違いない。相手はなでしこのことを知り尽くした上で試合に臨んでいる。コーチング、マネジメントとは相手の事前情報を把握することが大切だが、日本はできていなかった。選手たちの力に頼り切ってしまったため、研究されたらそこへの対策ができなかったね」

女子サッカーは組織的に守られていない。中国戦後、まだ予選は2試合あるのに選手や監督がサポーターの元へ行って直接謝るようなことをしていた。普通は考えられない。協会の人間は何をしていたの? 組織としての力がないね。なでしこもそうだし、フットサルにも言えることだけど、強化や認知拡大には予算が必要だけど、割いてはいない。つまり、なでしこやフットサル代表は世界で勝ってくれればありがたいけど、負けても特に何かを変えるわけではない程度にしか考えていないのでは、と思ってしまうよ。女子サッカーはINAC神戸、フットサルは名古屋オーシャンズに頼り切っている」

「宮間はW杯のあと、『女子サッカーをブームではなく文化に』と言ったけど、そのお願いが気の毒になってしまう。今の選手たちはとても頑張ってきた。この予選も協会がどれだけ集客対策をしたんだろうね。組織は何のためにあるんだろうか。次のW杯や東京五輪は正直厳しい戦いになる。アジアは力をつけているし、世界のトップとの差は広がるだろうね。今回敗退してしまったことを区切りとして、もう一度、女子サッカーについて見直す、いい機会だ。これまでの日本サッカー協会の会長は女子サッカーについて大きく触れてこなかった。田嶋(幸三)新会長は腕の見せ所になる。新会長のいい宿題になったよ。女子サッカー界はここから立て直してほしい」