中国メディアの法制晩報が5日、大陸と台湾の台北市を結ぶ高速鉄道の建設が五カ年計画に盛り込まれる見通しと報じたことに対し、台湾では反発の声が出た。台湾政府も、「大陸側が一方的に言っても、それで計画になるわけではない」と、批判的にコメントした。(イメージ写真提供:(C)Ping Han/123RF.COM)

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 中国メディアの法制晩報が5日、2016年から2020年を対象期間とする中国の第13次5カ年計画に、大陸の福建省福州市と台湾の台北市を結ぶ高速鉄道の建設が盛り込まれることになったと報じたことに対し、台湾では反発の声が出た。台湾政府における中国側との交渉窓口である大陸委員会も、「大陸側が一方的に言っても、それで計画になるわけではない」と、批判的にコメントした。

 中国大陸部と台湾を結ぶ高速鉄道の構想が初めて明らかになったのは2008年3月だ。当時の中国政府・鉄道部と福建省政府が北京市内で、「海峡西岸経済区の鉄道発展を加速することについての会議紀要」に署名した。同「紀要」には台湾海峡に海底トンネルを建設し、北京-台北の直通高速列車を走らせることなどが盛り込まれていた。

 しかし技術面や経済面、さらに何より、大陸側の「一方的」な構想であり、現実味はそれほどなかった。

 法制日報は5日、第13次5カ年計画の綱要草案に、福州と台北を結ぶ高速鉄道線建設が盛り込まれたと報じた。同草案は開催中の全国人民代表大会(全人代)で審議中ということになる。最終的に5カ年計画に盛り込まれれば、中国側は2020年までに、台湾海峡トンネルについて、具体的な「行動」を起こすと見るのが順当だ。

 台湾メディアの聯合報によると、同話題を巡ってインターネットではさまざまな意見が発表された。「(中国側の)ひとりよがり」、「大陸側が、両岸(大陸側と台湾)の統一を加速することを暗示している」など、批判や不安の声も多くみられるという。
 台湾政府・大陸委員会は同件について「海を越える高速鉄道は、建設技術、運営の安全性、運営の経済性だけでなく、国家の安全や民意の反応、両岸の双方の動きなど、複雑な問題に関係してくる。大陸側が一方的に言っても、それで計画になるわけではない」と批判的にコメントした。

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◆解説◆
 中国の対台湾政策を見ていて、不思議な感覚にとらわれることも多い。中国側は「台湾との統一」を願っているはずだが、そうは思えないような言動があまりにも多いからだ。

 中国が台湾との統一を本当に望むなら、政治的な“技術論”として最も有効なのは、台湾の人々の多くを「統一してもよいかな」あるいは「やむを得ないかな」と思わせることのはずだ。

 台湾人の多くがそうは思わない最大の理由は、中国共産党あるいは中国当局に対する不信感であるはずだ。台湾の人にとって、中国側の動きにはあまりにも「一方的」、「強引」、「非民主的」、「信義にもとる」場合が多い。香港返還の際に保証された「一国二制度」による香港の独自性は、台湾の人から見れば「どんどんねじ曲げられている」ようにしか思えないだろう。

 今回の「大陸・台湾高速鉄道」計画にしても、半ば忘れられていた構想が突然に、一方的に浮上したことになる。台湾人にとっては「これが中国のやり方だ。やはり中国と台湾は違う国だ」という不信感が増すばかりだろう。中国当局は本当に台湾との統一を望んでいるのだろうか。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)Ping Han/123RF.COM)