世界緑内障週間始まる

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3月6日から12日は世界緑内障週間。この期間には、世界各地で緑内障に関する啓蒙イベントが開催される。日本では40歳以上の20人に1人が罹患しているという緑内障。アラフォー世代は用心が必要だ。

失明原因ナンバーワン

厚生労働省の調査によると、日本の失明原因の1位は緑内障だ。罹患者数も多く、40歳以上の20人に1人、70歳以上では10人に1人が緑内障と言われる。自覚症状のない「隠れ緑内障」も含めれば、その数はもっと多いはずだ。しかしその割に、正しい知識を持っている人は少ない。緑内障とは、どのような病気なのだろうか。

緑内障は、目から入ってきた情報を脳に伝達する視神経に障害が起こり、視野が狭くなったり、部分的に見えなくなったりする病気だ。症状はゆっくりと進行し、少しずつ見えない範囲が広がっていく。両目の症状が同時に進行することは少ないこともあり、気づきにくいのが特徴だ。気づいた時には、すでにかなり進行していることが多く、放っておくと、最終的には失明に至る。

緑内障の発症には、眼圧の上昇が関わっている。眼圧とは、眼球に一定の張りを与えて形を保つ圧力のことで、目の「硬さ」ともいえる。その圧力を一定に保っているのが、眼の中を循環する「房水」という液体だ。房水は目の「毛様体」という組織でつくられ、目の中を循環し、眼球の外の血液中に排出される。房水が過剰に作られたり、排出される部分(出口)が詰まったりすると、房水の流れが妨げられて目の中に溜まり、目がパンパンに張ってしまう。これが、眼圧の上昇と言われる現象だ。

緑内障には房水の出口(隅角・ぐうかく)が広いタイプ(開放隅角)と狭いタイプ(閉塞隅角)がある。広いタイプを原発開放隅角緑内障、狭いタイプを原発閉塞隅角緑内障と言う。また、生まれつき緑内障の人や、ほかの目の病気や薬の影響によって引き起こされるケースもある。

眼圧が正常でも緑内障?!

眼圧を上昇させるリスクファクターには、加齢、近視や遠視の程度、人種、運動不足、血圧などがある。また、2016年1月に発表されたイスラエル・テルアビブ大学の研究論文によると、肥満が眼圧を上昇させるリスク因子であることもわかってきた。

日本人の平均眼圧は14.5水銀柱ミリメートル(mmHg)、正常範囲は10〜20mmHgとされている(2000〜2002年に実施された緑内障の大規模疫学調査「多治見スタディ」による)。 しかし、眼圧は個人差が大きく、1日の中でも時刻によって変動するし、冬は高く、夏は低くなりやすい。正常範囲にあるからといって、一概に「心配なし」とは言えない。

実際、日本人の緑内障患者のうち過半数は、眼圧が正常範囲にあるという。これは、正常眼圧緑内障と呼ばれ、欧米人に比べ日本人に多い。こうしたことから、これまで眼圧の上昇が緑内障の主な原因とされてきたが、近年では加齢や家族の既往歴などとともに、リスク因子の1つとしてとらえられるようになってきた。

とはいえ、すべての緑内障において、眼圧を下降させることで緑内障になるリスクが下がることや、進行を遅らせることができることがわかっている。自分の眼圧値を知り、安全な範囲にコントロールすることが重要だ。

まずは検診を受けよう

緑内障は、眼圧検査や眼底検査、視野検査などの結果から診断される。定期健康診断などでいずれかの検査に異常があった場合は、眼科で再検査を受けよう。

緑内障の疑いがあると診断されると、さらに精密な検査でタイプを特定する。精密検査では、眼圧の日内変動や、視野が欠ける位置、網膜の厚さや視神経の形、隅角の様子などを調べる。

治療方法には点眼薬による薬物療法、レーザー治療、手術療法があり、いずれも眼圧を下げる目的で行われる。先述の通り、正常眼圧緑内障でも眼圧を下げることで、進行を防止したり、遅らせたりできる可能性がある。しかし、視神経に一度障害が生じると元には戻らないので、完治は期待できない。いかに早い段階で緑内障に気づくかが、失明のリスクを減らすカギとなる。

緑内障は日本のみならず、世界中で患者数の多い病気だ。世界緑内障連盟(World Glaucoma Association)は多くの人に緑内障について知ってもらうため、毎年3月に世界緑内障週間を設け、さまざまな活動を行っている。日本でも各地でセミナーなどが開催されるほか、札幌テレビ塔や渋谷ヒカリエ、横浜マリンタワー、神戸ポートタワー、通天閣、熊本城など、北から南まで全国の建物がグリーンにライトアップされる予定だ。[監修:市邉義章 神奈川歯科大学附属横浜クリニック眼科教授・診療科長]

参考論文
Relationship Between Body Mass Index and Intraocular Pressure in Men and Women: A Population-based Study.
PMID:26766402

(Aging Style)