山口蛍がまた前半途中に交代…懲罰?その真相は

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ブンデスリーガで最下位に沈むハノーファーは5日、敵地でヴェルダー・ブレーメンと対戦した。

トーマス・シャーフ監督が40年以上在籍した古巣だが、残留を争う相手とあって負けられない一戦。しかし、チームはミッドウィークのヴォルフスブルク戦に続く4失点を喫し連敗となった。

この試合には清武弘嗣、酒井宏樹、山口蛍の日本人「3H」が3試合連続で先発起用され、清武、酒井がフル出場。一方で唯一、山口蛍だけは前半36分に途中交代している。

前半36分!?

山口は2月6日のマインツ戦で小さなミスを繰り返し、今回とほぼ同じ前半35分にいわば“懲罰交代”させられている。

それから2試合出番を与えられなかったが、先発復帰した先週末のシュトゥットガルト戦でチームの連敗ストップに貢献。清武も屈辱から持ち直した後輩を絶賛したばかりだった。

怪我ではない。とすると2月の悪夢が再び!?

試合後、ネットでは「また懲罰交代だ!」と話題にもなっていたが、決してそういうわけではない。

実はこの試合、シャーフ監督は山口をトップ下で起用していたのだ。

より正確にいうと、攻撃の際はトルコ人のケナン・カラマンが1トップを務め、山口がトップ下、清武がやや右サイド寄りに位置するが、守備の際には山口と清武が最前線の中央でボールを追い、ケナンが右サイドをカバーする変則フォーメーションだったのである。

そのうえでほぼ一方的にブレーメンに攻められていたため、実質的には清武と山口の“偽2トップ”という不思議な現象が起きたのだった。

シャーフ監督は何を意図したのだろうか。山口の攻撃力を買ったのか、厳しくいえばヴォルフスブルク戦で3失点に絡んだ守備を軽いと見たのか。ここ2試合センターバックで起用されたセネガル人サリフ・サネが中盤に戻ってきた事情もあるだろう。

真相は不明だが、どちらにせよウーゴ・アウメイダが出場停止中でチームが得点力不足にあえぐなか、シャーフ監督が古巣を相手に選択した苦肉の策であった。

しかしこの奇策は大失敗に終わる。山口は積極的に攻撃に絡み、シュートも2本ほど放ったが、ハノーファーは早い時間帯に2失点を喫してしまったのだ。そのため攻撃に転じざるを得なくなり、シャーフ監督は急遽FWのアーダーム・サライを投入。山口は決して悪いパフォーマンスではなかったものの、戦術の都合で早期交代の憂き目にあってしまったのである。

実際、ハノーファーのサポーターからは山口に同情する声も上がっていた。

「ヤマグチに同情」
「ヤマグチは他のプレーヤーより悪くなかったが、スケープゴートに使われた」

ただ、そうはいっても本人の胸中は穏やかではない。山口は試合後、ブンデスリーガの公式サイトにて以下のように語っている。

「個人としては途中で代えられていますし、ポジションがボランチじゃなかったので、ちょっと、どう捉えてよいか分からないです」

「トップ下はもう何年もやっていないし、中学以来くらいなので。自分では消化し切れない部分はあります」

と重ねて困惑を口している。当然だろう。

その一方で、

「次は1週間空くので、自分的にはこういう感じで終わってしまったので、そこはしっかり切り替えなくちゃいけないとは思いますけど」

と、気持ちを切り替えていた。