オーストラリア戦以来の先発出場を果たした鮫島だったが、中国のサイド攻撃に守備で消耗させられてしまった。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 中国戦の敗戦から一夜明けた3月5日、日本女子代表は堺市内で調整を行なった。左SBとして先発出場した鮫島彩は、58分に対峙したグー・ヤーシャへのプレッシャーが弱くなったところを狙われ、豪快なシュートで手痛い追加点を献上。他国のレベルアップを認めつつも、「自分たちの意識、準備を問題視する必要がある」と、敗戦の原因はあくまで自分たちにあると語った。

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「自分たちの対策を採る“範囲”が狭かったと思います。紅白戦だけで合宿を積んできたので、(相手が)国内の選手だけだとペナ(ペナルティエリア)外から打ってくるシチュエーションはまずないし、シュートレンジが課題に出てくることが少なかった。もちろん、練習後には毎回ビデオを繰り返し見て、いろんな局面の話し合いは徹底してやって来ましたけど、『たら』『れば』を考える範囲がすごく狭かったのかなと」
 
 日本が紅白戦を中心に準備をしてきたのに対し、他国は強化試合を多く組んでいたことに水を向けられると、「強化試合に関しては私たちがコントロールできる部分ではない」とコメント。逆に、与えられた環境下でもっと自分たちができることはあったと鮫島は感じている。
 
「今までこれだけ世界で戦ってきて、いろんな戦い方、シュートレンジ、スピードを持った選手を見てきました。考える範囲を、自分たちで広げておかないといけなかった」
 
 これまでのなでしこジャパンは、守備をベースに接戦をモノにし、世界トップレベルの座に上り詰めた。しかし、「攻撃メインの練習が多かった」(鮫島)という今大会は、3試合を終えてクリーンシートはゼロ。崩壊とは言わないまでも、平均2失点と相手に付け入る隙を与えて、自分たちでゲームプランを狂わせてしまっている。
 
「(現状に陥った)原因はひとつではなく、いろんな要素があると思います。そのなかで、
今まではすべての試合に守備から入っていました。『自分たちは一人では守れない』というのが大前提にあって、相手にボールを持たせながら守備でリズムを作る。どうにか前半を0-0で守り切って、後半相手の運動量が落ちた時に自分たちのリズムが出てくる。
 
 そういう戦いを同じメンバーで長くやってきて、世界大会も経験して、勝ちも積み重ねてきたなか、今回はボールを持っている前提の準備をすることが多かった。でも、結果を見てみたら守備が全然機能していないわけで……。もちろんクロス対応はとことん練習してきましたけど、そのクロスからでさえも、やられて失点しているので、結局穴があった、準備不足だったということだと思います」
 3試合で勝点1、5位の日本は、残り2試合に連勝しても勝点7。五輪出場権を得るには、ベトナムと北朝鮮に連勝し、中国が韓国とオーストラリアに連敗することが絶対条件。そのうえで北朝鮮が7日のオーストラリア戦で引き分け以下、韓国が9日のベトナム戦に勝たないことが必要になる。もはや4大会連続5回目の五輪出場は著しく可能性が低い状況だが、鮫島は日本代表としてのプライドを覗かせる。
 
「この大会に懸かっているものの重さは始まる前から分かっているし、国を背負っている以上、わずかな可能性でもそこに懸けるしかない。みんなもそれは分かっていますけど、個人個人の想いではなく、チーム全体の想いとしてやっていかないと。その結果が、皆さんのおっしゃる『一体感のなさ』だったり、今までとはなにか違うように映っているのかなと。ただ、まだ『最悪(の事態)』を考えるべきではないと思います」
 
 結果はもちろん大切だが、まずは一枚岩となって戦う“なでしこらしさ”を取り戻すこと。そこから、今のなでしこジャパンのリスタートの道が始まるはずだ。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)