日本経済を「悲観論」が覆っているが、日本企業の業績を見ても決して悲観する必要はない。武者リサーチ代表の武者陵司氏はこう力を込める。

「何より日本企業は価格競争に巻き込まれず、技術と品質で優位にあり、他が真似できないような商品やサービスを提供し続けてきたことが、収益好調の一番重要な要素といえます」

 振り返ってみれば、実用性の高い分野において日本人の発明品は多い。たとえば乾電池やシャープペンシル、テレビ、胃カメラ、ノートパソコンに光ファイバー通信……さらにはiPS細胞など、枚挙に暇がない。著名投資銀行家“ぐっちーさん”こと山口正洋氏がいう。

「そのような技術、ノウハウを長年引き継げる伝承こそ日本の力といえるでしょう。それは企業も同じ。歴史の浅いアメリカはもちろん、長い歴史を持つ欧州でも最古の企業は1369年創業。日本にはこれより古い企業が100社近くあり、創業1000年以上の会社も10社ほどある。しかも、ただ伝統を守るだけでなく、トヨタ自動車が織機メーカーから大きく転身したように、その時々で時代の最先端に挑み続けてきました」

 バブル崩壊以降、終身雇用をはじめ日本型経営スタイルへの非難が相次いできたが、実は世界では見直されていると山口氏はいう。

「グリーティングカードで世界トップのアメリカの企業『ホールマーク』は、ハーバード・ビジネス・スクールの卒業生の就職先ランキングで常にトップ10に入る人気企業です。その最大のウリは終身雇用なんです。

 同じくアメリカでは、社内運動会や演芸大会のような、かつて日本企業が頻繁に行なっていた社員同士のコミュニケーションを高める催しが増えています。いずれも日本式を見習ったものです」

 日本経済は最強だ。悲観論に惑わされることなく、発展への努力を続けていけば、成長を実感できる日も近いはずである。

※週刊ポスト2016年3月11日号