重力波観測のウラに、イタリアの貢献があった

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米国の研究施設「LIGO」によって世界で初めて検出された重力波。だがこの成果には、イタリアの干渉計「VIRGO」の貢献が欠かせなかったという。VIRGO共同設立者に訊く、この歴史的発見におけるイタリアの役割、宇宙観測の新しい未来。

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先月、重力波を初めて直接観測した、というニュースが世界をかけ巡った。

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米国の干渉計「LIGO」による重力波検出には、実のところイタリアも一枚かんでいる。イタリアの国立核物理学研究所がフランスとともにイタリア・ピサに共同で設立した「VIRGO」の干渉計を通して、大きく貢献しているのだ。

『WIRED』イタリア版は、VIRGOの共同設立者でナポリ・フェデリーコ2世大学の実験物理学の教員、レオポルド・ミラーノにインタヴューを行った。

──この発見におけるVIRGOの役割はどのようなものでしたか?

米国のLIGOとは、特に分析システムを共有していて、VIRGOはLIGOからデータを受け取って分析しました。いまVIRGOはアップグレードをしていて、今年の終わりまでに「Advanced VIRGO」として性能がアップする予定です。

──VIRGOとLIGOの違いは何ですか? そして2つの施設はこれまでどのような関係でしたか?

2つの干渉計システムの違いは観測する周波数にあります。VIRGOが優先するのは低い周波数の信号を検出することですが、LIGOではもう少し高い周波数を観測します。

VIRGOとLIGOはともに、2000年代に稼働を始めました。06年くらいまでは一種の競合関係にありましたが、その年以降はデータを共有し、素晴らしい共同研究が10年まで継続されました。同年、双方の干渉計のアップグレード作業が始まりましたが、LIGOはその作業を15年8月ごろに完了しています。もしVIRGOもアップグレード作業を終えていれば、きっとこの重力波を観測できていたでしょうね。

──VIRGOは、これまで重力波の観測に近づいたことがあったのでしょうか?

そう言えるでしょう。VIRGOは低い周波数を優先して、パルサーの放出に注目しました。「ほ座」や「かに星雲」のパルサーを観測し、重力波の放出を特徴づける「パラメーターの上限を定めた」というVIRGOの功績は認められるべきです。

──VIRGOとLIGOの共同研究の今後の予定は?

アメリカとイタリアは、重力波のすべてのパラメーターを完全に決めることができるでしょう。そういう意味で、VIRGOとLIGOは互いに実りのある共同研究を続けることになるでしょう。しかし、存在するあらゆる雑音を排除して確実に波の特徴を把握するためには、インドの「INDIGO」と日本の「KAGRA」、そして願わくばオーストラリアの干渉計の稼働も重要かもしれません。

2015年9月から現在までに、LIGOではデータ取得において妨害となる障壁を避けるために、多くの予防措置がとられてきました。例えば、アフリカのブルキナファソに落ちた500kA(アンペア)のような雷が干渉計を妨害するか、ということまで検証されました。そして妨害は起きなかったことが確認されました。

──重力波観測ほかに、何か重要なことが明らかになってくるのでしょうか?

そうですね。LIGOにより、ブラックホールの融合が明らかになり、このことよりブラックホールの存在の実験的証拠を見つけることも可能になりました。いままでは観測できなかったものです。さらに、一般相対性理論が完全に証明されました。重力についてのほかの理論は、この重力波検出により排除されることになると思います。

──最後に、この種の発見全体の副次的効果を教えてください。

宇宙観測の「新しい未来」が見えてくることです。電磁波では事実上見ることのできない対象が、重力波の放出を通して見えるようになるのです。ビッグバンが起きてからの約40万年までに、宇宙がどのように発展したかを見ることができるでしょう。

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