勝利が求められた中国戦は、想像を絶するプレッシャーがかかっていたのだろう。宮間のプレーには、普段の冴えがなかった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 正確無比なパスが武器であるはずが、くさびは次々とDFにひっかけられ、ダイレクトプレーもイメージがズレて決まらず、リズムに乗れない。中国戦の宮間あやに本来の輝きはなかった。

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 14分、川村優理のバックパスがコミュニケーションミスを呼んで失点。58分には強烈なミドルシュートをねじ込まれ、リードを2点に広げられてしまう。横山久美の一撃で一点を返したとはいえ、ボールをつなぎながらゴールを陥れる“なでしこらしい”サッカーが戻らなくては、勝機はなかった。宮間自身、攻撃には物足りなさを感じていたという。
 
「最初の失点が自分たちのミスからだったので、なんとか取り戻したかったですけど……。横山選手の得点もペナルティエリア内での相手のミスを得点につなげたもので、相手を崩しているシーンはほとんどありませんでした。自分としても物足りないと感じます」
 
 やっていること、やるべきことは変わらない。メンバーも大きく変わったわけではないのに、なぜ結果を出せないのか。中国戦にしても、「敵わない相手ではない」(宮間)のに勝てない。逆に、これまで敵わないと思う相手にも勝ってきたのに……。宮間は苦悩し、自問自答を続けた。しかし、「正直原因は分からない」と答を見出すことはできなかった。
「自分たちが研究されているのは感じます。どの相手も奪った後の素早い攻撃だけを目指している。それが分かっていながら攻略し切れないのは、自分たちの実力不足と言うしかない。澤さんはいなくなりましたけど、これまでのメンバーも多いなかで結果が出ないと『自分たちが間違っているんじゃないか』と……。サッカーの怖さや難しさを感じています」
 
 試合終了の、日本にとっては敗戦を告げるホイッスルがなった瞬間、宮間はうなだれるしかなかった。その後、キャプテンとして、チームメイトとともに応援してくれたサポーターたちに挨拶に向かうと、「こんなんでいいのか!!」「2020年(の五輪)どうするんだ!!」と、厳しい声を向けられた。

 敗戦の悔しさを堪えつつ、サポーターの言葉を真摯に受け止める宮間の目には涙が溢れていた。しかし、ロッカールームに戻る際には、涙する大儀見優季や横山をかばうようにエスコートしながらピッチを後にした。
 
「結果を出せずに本当に申し訳ないと思います。サポーターの方の声はもっともだし、(私は)キャプテンとしてそれを受け止めないといけない。でも、日本を代表してプレーする自覚を持っていない選手なんていないし、プレー中は負けることなんで考えていませんでした。みんなサッカーが好きで……キャプテンとして仲間を傷つけられたくないので、いくら自分がなにを言われても仲間を守りたい」
 
 韓国戦翌日、なでしこの練習を訪問した澤穂希さんは、「(宮間は)責任感の強いキャプテン。ひとりだけで背負って、自分を追い詰めないでほしい」と話していたが、「重いリュックをみんなに持ってもらう」(澤)どころか、逆にチームメイトたちのリュックさえも代わりに背負ってしまっているかのようだった。

 地元開催、負けられない戦い、そしてキャプテンとしての重責。本来ならば、それらの大きい負担を共有したいところだが、試合はすぐにやってくる。
 
「死に物狂いでやっているつもりですけど、(勝てないのは覚悟や実力が)足りないということ。チームがバラバラにならないように、すべてここに懸けてやってきている。今までも自分たちや監督を信じてやって来たので、それを辞めずに最後まで続けたいです」
 
 五輪出場は絶望的な状況だが、それでもわずかな可能性を信じるように必死に前を向く。宮間は最後の瞬間まで戦い続けることを誓い、運命の3月7日・ベトナム戦に向かう。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)