花が咲く前に季節を先取り。桜酒と季節の和菓子で大人の春を楽しもう

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3月5日は啓蟄(けいちつ)と呼ばれることを、知っていた? これは“冬ごもりをしていた虫たちも、陽気に誘われて土の中から出てくる季節”という意味で、春分直前の時期を示す言葉でもあるとか。

「春の象徴でもある桜の花が咲き始めるのはもう少し先ですが、この頃から気候が春に向かいます」と歳時記に詳しい柳本あかねさん。そこで、そんな春の訪れを大人女子らしく楽しむ方法を教えてもらった。

春の気分を自宅で楽しむなら、季節を先取りする“桜酒”がおすすめだそう。まずは、漬物売り場やお茶専門店などで桜の塩漬けを入手。その花びらが壊れないように注意しながら、10分ほど水に浸して塩を抜いて。透明のグラスに入れた日本酒に、これをそっと浮かべればできあがり。お酒が苦手な人は、日本酒の代わりに炭酸水でもOK。

「ノンアルコールの飲み物なら、煎茶に桜の塩漬けを加えた“桜煎茶”を。白い器を選ぶと、より桜の花びらのピンク色を際立たせてくれます。まるで自分の手元にだけ桜が咲いているような気持ちになり、華やいだひとときを過ごせるでしょう」(同)
◆桜煎茶の作り方

材料(1人分)
煎茶:小さじ2 桜の塩漬け:一輪

1 急須に小さじ2杯の茶葉と、桜の塩漬けを一輪入れる
2 80度ぐらいのお湯を注ぎ、30秒ほど待って抽出する
3 急須から桜の花びらを取り出して、湯呑のお茶に浮かべる

好みに応じて、ほうじ茶を使った「桜ほうじ茶」や、紅茶を使った「桜紅茶」にしても、春の風情を楽しめるお茶に。ただし、ほうじ茶や紅茶は多少甘みがあり、味も濃いめなので、桜の塩漬けは塩気を抜いて使うのがベターとか。

「桜茶をお友達といただくのなら、ぜひ和菓子と一緒におもてなししましょう。この時期は、桜餅や桜の形をした干菓子や生菓子、おせんべいなどが出揃っています。また、薯蕷(じょうよ)まんじゅうなど、白い色のお菓子を用意したなら、ピンク色の和紙を桜の花びらの形に切って、菓子皿に見立てましょう。女性らしく愛らしい雰囲気が演出できますよ」(同)

春の風情を演出する工夫を取り入れて、いつもよりも季節を満喫して。

柳本あかね
日本茶カフェ「茜や」、お茶とお酒「茜夜」店主。日本茶インストラクター。きき酒師。グラフィックデザイナー。二級建築士。著書に『いちばんおいしい日本茶のいれかた』(朝日新聞出版社)、『神楽坂「茜や」の小さな暮らし』(河出書房新社)、『「茜夜」のシンプルに暮らす、小さなキッチン』(河出書房新社)がある。最新著書に『「茜や」の小さく楽しむ おうち歳時記』(河出書房新社)。