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◆「牙」の名を持つ2015年絶好調だった銘柄は?

“FANG”という言葉をご存じだろうか?英語で「牙」という意味があるが、この意味ではない。英和辞典で調べても、出てこないかもしれない。“FANG”は、米国で大人気の株式評論家でTheStreet.comの代表であるジム・クレイマーによる造語で、フェイスブック(FB)のF、アマゾン(AMZN)のA、ネットフリックス(NFLX)のN、グーグル(GOOGLE 現在は、アルファベット)のGの頭文字を合わせたものである。

 2015年の1年間の“FANG”株のパフォーマンスはすこぶる良かった。昨年1年間の米国株価指数のひとつであるS&P500が -0.7% に沈んだのに対して、フェイスブック+34.1%、アマゾン+119.0%、ネットフリックス+129.4%、アルファベット(旧グーグル)+46.6%と、素晴らしいアウトパフォームであった。

 ところが、2016年の年が明けると、“FANG”株は昨年と異なる動きを見せている。年初から3月3日までのパフォーマンスをみると、S&P500が -2.5% に対して、フェイスブック+4.7%、アマゾン-14.6%、ネットフリックス-14.4%、アルファベット-6.0%と、フェイスブック以外、S&P500に負けており、とりわけ、アマゾンとネットフリックスの下落幅が二桁と大きい。ブルームバーグやフォーブズなどは昨年末に「FANG株」が昨年ほど伸びないだろうという予想記事を出していたが、こと年初に関して言えばその予想が見事に当たったことになる。このままFANG銘柄は低調になってしまうのか?

◆年初来の “FANG”株の動向を仔細に観る

 株は、それまでによく騰がった株から売られやすい傾向がある。逆に、それまで騰がってこなかった株が買われやすい。いわゆる「リターン・リバーサル」と呼ばれる現象だ。

 上記の通り、S&P500は、年初から3月3日まで-2.5%下落した状態であるが、年初から一貫して下がり続け、2月10日の-10%下落をボトムに反発してきている。

 フェイスブックの株価は、年初から3月3日まで+4.7%である。1月27日、フェイスブック株は、良好な第4四半期決算発表後急騰を見せ、最大+13%の高値をつけた。フェイスブック株も、第4四半期決算発表時を除き、S&P500と同様の株価の動きを見せているので、第4四半期決算発表後の急騰分だけS&P500をアウトパフォームしたと言える。

 アマゾンの株価は、年初から3月3日まで-14.6%である。1月28日、アマゾンは第4四半期決算発表したが、一株利益がアナリストの予想を大きく下回り、発表後、アフターマーケットで-14.5%の下落。2月9日まで株価は下げ続け、年初来-28.7%をボトムにして反発した。「リターン・リバーサル」で売られたというよりは、決算が事前予想よりも悪いというファクトで大きく売られたと考えられる。

 ネットフリックスの株価は、年初から3月3日まで-14.4%である。ネットフリックスの第4四半期決算発表は、1月19日であった。一株利益がアナリストの予想を上回り、発表後、アフターマーケットで+8%の上昇。この時点まで、ネットフリックス株はS&P500をアウトパファームしていた。ところが、1月21日から株価は下落。米国内のサブスクライバー数が予想に届かなかったことを理由に挙げられているが、それが理由であるなら、決算発表後に下落してもいいはず。2月5日の年初来-27.6%をボトムに反発しているが、下げが大きい。ネットフリックスは、決算発表で売られたというよりは、「リターン・リバーサル」で売られたと言っていいかもしれない。

 アルファベットの株価は、年初から3月3日まで-6.0%である。2月1日、アルファベットが発表した第4四半期決算は、一株利益がアナリストの予想を上回り、株価は急騰したが、その後、米国株価市場の動きと歩調を合わせて下落し、ボトムをつけて反発している。3月3日時点、S&P500にアンダーパフォームしているが、誤差の範囲内だろう。