中国メディアの大河網によると、同国の高速鉄道運転の最高速度を、現状の時速300キロメートルから350キロメートルに引き上げよとの声が高まっている。アンケートでは97%が安全確保などを条件に賛成または認める考えを示したという。(イメージ写真提供:(C)Ping Han/123RF.COM)

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 中国では、2000年以降に建設が盛んになった高速鉄道路線の多くで、設計最高時速が350キロメートルとされた。しかし2011年7月1日のダイヤ改正では、最高時速が300キロメートルに引き下げられた。中国メディアの大河網によると「時速350キロメートルを復活させよ」との声が高まっている。アンケートでは97%が安全確保などを条件に賛成または認める考えを示したという。

 中国政府・鉄道部(当時)は、最高速度の引き下げの理由を「安全性の向上」、「運賃の抑制」、「エネルギー効率の向上」と説明した。11年、6月30日に開業した北京と上海を結ぶ京滬高速鉄道は当初、「最高時速380キロメートルで運転」ともされていたが、結局は最高時速を300キロメートルに抑えた。

 しかし京滬高速鉄道は開業当初から、トラブルを続出させた。「1日を通じて、正常に運転できる日」の方が、珍しいぐらいになった。そして人々は自国の高速鉄道についての技術力や信頼性について、疑問を持ち始めた。

 大事故が発生したのは別の路線だった。浙江省を走る甬台温線で、最高速度の引き下げを実施してから1カ月もたたない7月23日、停車していた列車に後続列車が追突する事故が発生した。中国政府発表では同事故で40人が死亡した。

 中国国民の、自国の高速列車に対する信頼は失墜した。当局による事故処理や情報開示に対しても、不満が爆発した。報道が厳しく統制されている中国で、新聞が紙面で政府を「くそったれ」と罵る、“異常事態”も発生した。

 しかしその後、高速鉄道は時おりトラブルを発生させはするものの、大事故は発生しなかった。

 中国では毎年3月、全国人民代表大会(全人代)と中国人民政治協商会議(政協)という、政治上の「二大会議」が開催される。議員の発言も注目される時期だ。

 大河網によると、政協の宋豊強委員(議員)がこのほど、高速鉄道の時速350キロメートル運転を再開することを提案した。増速により移動時間を短くできるだけでなく、増便もできて輸送力を増強できるとの主張だ。記事は、現状のままでは京滬高速鉄道の輸送力は近いうちに、ニーズを満たせなくなるとの見方が出ていることも紹介した。

 大河網がインターネットを利用して実施したアンケートによると、回答者の77%が「安全が確保されるなら、増速を支持する」、20%が「料金値上げをしないなら増速してもよい」で、それ以外の考えを示した人は3%だったという。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)Ping Han/123RF.COM)