【日本サッカー見聞録】代表トレーニング・キャンプのメンバーに潜む閉塞感

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▽なでしこジャパンには3連勝を期待しつつ、オーストラリアも応援しなければならない、まさに“崖っぷち”状態である。流れを変えるためにも大胆な選手起用を期待したいが、メンバーを見るとカンフル剤となりそうな選手が見当たらない…。

▽中国戦は中1日の3戦目。ここは疲れの見える宮間や大儀見を思い切ってベンチスタートさせるくらいの“ギャンブル”に出るのも一つの手かもしれない。「監督交代」という“劇薬”もあるが、それでは誰が“火中の栗”を拾うのか。まさか3度目の岡田武史監督というわけにもいかず、適任者が見当たらないのも悩ましいところである。

▽といったところで、今日、JFA(日本サッカー協会)は7日から9日にかけて千葉県内で実施されるトレーニング・キャンプの招集メンバー26人を発表した。いずれも国内組で、初招集は川崎Fの車屋。U-23日本代表からは植田、遠藤航、浅野の3選手が招集された。

▽24歳の車屋は、長友(30歳)、太田(29歳)のバックアップとなる左サイドバックだ。このポジションには25歳の酒井高もいるとはいえ、ハンブルガーSVでポジションを確保したとは言い難い。国内組では藤春とのポジション争いになるものの、長友や太田の後継者を早めにテストするのは悪いことではない。

▽U-23に代表トリオも今回は将来を見据えての招集だろう。意外なところでは鹿島の遠藤康と横浜FMの齋藤で、2人ともサイドを起点にしてカットインからのフィニッシュを得意とするプレーヤーである。ただ、このポジションは海外組を視野に入れると“最激戦区”でもある。代表定着にはJリーグでスーパーな結果を残さなければならないだろう。

▽今回のメンバー発表を見て感じたのは、なでしこジャパン同様、「またいつものメンバーか」というマンネリ感である。Jリーグで結果を出している選手、もしくは安定したパフォーマンスの選手ということになると、人選も限られてしまうということか。そして日本代表とJリーグの問題点もここに潜んでいる。

▽例えば、リオ五輪でJリーグでの経験不足の指摘されるGKやセンターバック、手薄な両サイドバックのOA(オーバーエイジ)枠に、今回の招集メンバーから「この選手は戦力になるので入れた方がいい」という選手がいるかと問われれば、正直なところ即答できない。ご存じのようにリオ五輪は夏開催のため海外組の招集は難しい。

▽にもかかわらず手倉森監督と霜田技術委員長はOA枠の有効活用を明言している。GK東口やDF槙野らは五輪出場に前向きな発言をしている(記者から誘導された可能性もあるかもしれない)が、果たして本当に必要な戦力か判断に迷うところだ。かつての遠藤保仁のように、国内組で「外せない選手」が見当たらないのが現状のような気がしてならない。

▽絶対的な輝きを放っている選手。見ていてわくわくするような選手。去年なら武藤が該当したが、そうした選手はJリーグから巣立ってしまっている。これではJリーグの集客力が落ちてしまうのも必然と感じた、今回の日本代表トレーニング・キャンプのメンバー発表だった。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。