韓国戦ではクロスバー直撃のミドルや自慢のドリブル突破でチャンスメイク。それでも「ゴールにつなげないと意味がない」と自己評価は厳しい。 (C)Getty Images

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「澤ロス」「崖っぷち」「自力五輪出場消滅」――。2試合で獲得した勝点はわずか1。5位に沈む緊急事態に連日ネガティブなフレーズが飛び交うなか、今大会のなでしこジャパンで確かな光明となっているのが、自身初の五輪予選に挑むメンバー最年少のFW横山久美である。
 
 先発出場した韓国戦では、開始直後にチームのファーストシュートを放つと、4分にはクロスバー直撃の強烈な一発をお見舞い。“女メッシ”の異名を取る自慢のドリブルで左サイドからチャンスメイクし、攻撃のリズムを作った。
 
 シュート0本に終わったオーストラリア戦から中1日、「シュートを打つ」「高い位置で受ける」と自らに課したテーマを、すぐさま実践に移してみせたのだ。大会のテレビ解説を務める澤穂希さんからも「ゴールに向かうプレーが良かった」と評価するコメントが届いたが、本人の自己評価はとことん厳しい。
 
「初戦であまり積極的にプレーできなかったので、韓国戦はどんどんシュートを打っていこうと思いました。でも、バーに当たろうと、チャンスを作ろうと、ゴールにつながらないと意味がないです。(韓国戦は)後半になってすぐに消えてしまって、チームに迷惑をかけてしまったし、まだまだ力不足です」
 
 それでも、彼女の存在が少なからずチームを活性化しているのもまた事実だ。オーストラリア戦で先発起用された横山を見て、同世代で同じFWの岩渕真奈は「(横山)久美の活躍が刺激になるのは間違いない」と話し、ゴールという結果も残した。若手の突き上げが求められる今、横山はその筆頭候補として次世代を牽引する存在になりつつある。
 
「試合に出させてもらっている以上、自分の力を出すだけ。そこで力を出せなければ、まだまだ自分の実力が足りないということだし、普段の練習からもっとやらないといけない。どんな時でも力を出して、チームに貢献できる選手になりたいと思っています」
 
 五輪出場へもはや不可避の「3連勝」を目指し、次に戦うのは中国。「勢いがあるチーム」と警戒しつつも、横山にとっては、昨年の東アジアカップで対戦した際にゴールを挙げているイメージの良い相手だ。
 
「まだ(五輪出場の)可能性が残っている。中国は北朝鮮にも引き分けていて恐い相手ですけど、各々がチームのためにどれだけ頑張って、なでしこらしくやれるか。私自身は東アジアカップの時に対戦したイメージもあるし、チームのために走って、ゴールを決めたい」
 
 チームのために、ゴールを取るために、横山は死力を尽くす覚悟だ。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)