2月26日、経営不振に陥っているシャープが台湾の電子機器メーカー・鴻海(ホンハイ)精密工業による買収を受け入れると一斉に報じられた。日本を代表する大手家電メーカーに何が起きたのか。経済ジャーナリストの町田徹さんが解説する。

「シャープは前身の金属加工会社時代を含めると100年以上の歴史を誇る長寿企業ですが、ここ20年は世界に通用するヒット商品を作っていない。赤字の連続で経営は完全に行きづまり、台湾の鴻海と日本政府が9割出資する産業革新機構が買収合戦を繰り広げていました」

 シャープといえば液晶テレビ「AQUOS」や空気清浄機「プラズマクラスター」、ウォーターオーブン「ヘルシオ」などおしゃれで機能性の高い家電も人気だ。台湾の企業に買収されたら消費者にとっても一大事だが、前出の町田さんは「まだ本決まりではない」と指摘する。

「シャープが買収受け入れの直前になって、将来、負債として弁済義務を負うことになりかねない『偶発債務』を3000億円以上も抱えていると伝えたのが足踏みの原因で、鴻海は再査定をしています。想定以上にシャープが傷んでいると鴻海が判断すれば、買収の白紙撤回や買収価格の見直しに発展しかねません」(町田さん──2月29日現在)

 鴻海が買収を見送った場合、産業革新機構が買収する可能性が高い。IT・家電ジャーナリストの安蔵靖志さんが消費者への影響を説明する。

「機構は、シャープの液晶部門を別会社に買収させ、粉飾決算で経営危機の東芝とシャープの白物家電部門を統合させるなど、大胆な支援策を打ち出しています。パナソニックに吸収された三洋電機が冷蔵庫や洗濯機を中国メーカーに切り売りしたように、シャープも“解体”されることになる。現在のサポート体制は引き継がれるにせよ、『AQUOS』などいくつかのブランドが消滅するかもしれません」

 前出の町田さんはアフターケアなどが心配ならば、買い急ぐべきではないと言う。

「鴻海が買収した場合、6月の取締役会でシャープ役員の大半が鴻海サイドに入れ替わり、経営方針が大幅に変更になる可能性があります。不安なかたは、その新たな経営方針が明らかになるまでシャープ製品の購入を見送ったほうが無難でしょう」

 そして最悪のシナリオが倒産。そうなったらウチの家電の修理・交換はどうなる?

「シャープの商品は保持期間として約7年間は補修用部品を保持することになっているので、その期間は充分使えると思います」(安蔵さん)

 シャープ コンシューマーエレクトロニクスカンパニーの広報担当者はこう話す。

「家電製品の修理については、これまでどおり対応させていただきます」

 携帯電話については、シャープがドコモやソフトバンクなどの通信事業者に電話機本体を納入しており、機器に不具合があった際は、従来通り通信事業者が窓口になって、シャープが通信事業者と連携していくことに変わりがないということだ。

 シャープの存続は、決して他人事ではない。

※女性セブン2016年3月17日号