「週刊現代」3月12日号(講談社)

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 日本銀行が導入したマイナス金利が日本経済を混乱に陥れている。2月16日に日銀が導入したマイナス金利とは、これまでは0.1%の金利がついていた日銀にある市中銀行の当座預金の一部に、0.1%の利子(マイナス金利)を課すというものだ。

 預金者への影響は当面はないとされるが、前代未聞の激薬に、預金者は運用難が危惧されている、ゆうちょ銀行から資金を引き上げ、小型金庫の購入、特典の多い百貨店の友の会への加入など生活防衛を進めている。

 ゆうちょ銀行の運用難のほか、融資先がない地方銀行の経営破たん(経営統合)も取りざたされており、預金者が混乱して金融システム不安も広がりかねない。

 アベノミクスの第一の矢にして唯一の矢だった「大胆な金融政策(異次元金融緩和)」のうえにマイナス金利の導入で、再び円安・株高を狙った黒田東彦日銀総裁だが、その効果もなく、円高・株安が進んでおり、アベノミクスへの国民の失望も高い。日本経済新聞電子版2月28日付が発表した「世論調査」でも、 「安倍政権の経済政策『アベノミクス』を『評価しない』は50%で『評価する』の31%を上回った。昨年2月以降の同様の質問で『評価しない』が5割に届くのは初めてで『評価する』も最低だった」という。

 黒田総裁自身もこれまでの発言を修正し始めている。導入直後に行った講演では、「日銀が経済全体に供給する通貨の総量であるマネタリーベースが、私どもの積極的な金融緩和姿勢を対外的に分かりやすく伝える上で最も適切」と述べた上で、「物価安定目標の早期実現を約束し、次元の違う金融緩和を継続することにより、市場や経済主体の期待を抜本的に転換する」と述べていた。

 だが、2月23日、衆院財務金融委員会で「マネタリーベースの動きと期待インフレ率は相関関係があるという研究もあるし、そうでもないという研究もある」。「マネタリーベースそのもので直ちに物価、あるいは予想物価上昇率が上がっていくということではなくて、全体としての量的・質的緩和の下で需給ギャップも縮み、予想物価上昇率も上がっていく中で物価が上昇していくことを狙ったものだ」とこれまでの強気の姿勢を修正した。

「物価目標である2%達成」時期について、日銀は15年4月に「2015年度を中心とする期間」から「16年度前半」に、15年10月には「16年度後半」に、マイナス金利を導入した1月29日の経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、さらに「17年度前半」に先送りしている。達成期限の後ずれはこの1年に限っても3回目だ。

 異次元金融緩和が狙った通りの効果もなく、マイナス金利の政策効果が見込めなければ、今後はマイナス金利の金利幅や、マイナス金利が適用される預金の範囲の拡大が予想される。マイナス金利の金利幅を拡大するという未知の世界に盲進し続けるのだ。預金者の預金引き上げが続く、景気はますます冷え込む。出口戦略もまったくなく、思いつきだけの黒田総裁は「日本を壊した日銀総裁」として烙印が押されつつある。

 この「日本を壊した日銀総裁」がなんと、この10月、世田谷の億ションを買ったというのだ。

「週刊現代」3月12日号(講談社)「マイナス金利 黒田日銀総裁はなぜいま家を買ったのか」によれば、黒田総裁が買ったのは、「世田谷区の人気住宅エリア。駅近なうえ、公園の緑豊かな環境が広がる好立地に建つ瀟洒な高級低層マンション」(同記事より)だ。

 2009年新築で「販売当初は総戸数の半分以上が『億ション』として売られたブランドマンション」の最上階の部屋だ。

「部屋は、奥にあって玄関の出入りが人目につかないようになっている。渡り廊下に面して玄関があるのではなく、渡り廊下から枝わかれするような形で専用ポーチがあり、さらに磨りガラスの扉で仕切られている」(同記事より)

 黒田総裁はこの部屋を中古で、ローンを組まず、手持ちの現金だけで購入したという。「週刊現代」は黒田総裁がそれまで住んでいたのは、「UR(都市再生機構)賃貸住宅。家賃は20万円以上するが相場よりは割安な物件」とこれまでの「節約」生活を紹介し、「民間で賃上げラッシュが起きる度に、黒田総裁の給料も『民間レベルに合わせる』という名目で上げられてきた」ために現金で億ションが買えたのではないかと分析する。また、マイナス金利の恩恵を受ければ「インサイダーだ」と批判されかねないために現金買いをしたのではないかという。

 黒田総裁の任期は2018年4月8日まで、それ以降は、優雅に億ションに逃げ込み、リタイア生活を過ごそうという魂胆なのかもしれないが、そのころには、日本経済が破綻し、国民が貧困状態にあえぐ──そんな事態になっていないことを祈るばかりだ。
(小石川シンイチ)