攻めながらもゴールを取れない状況にベンチでもどかしさを感じていた岩渕は、「自分が入って絶対に点を取ってやろう」と思っていたという。 (C)Getty Images

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 まさかの引き分けに終わった韓国戦後、ミックスゾーンでテレビのインタビューを待つ岩渕真奈は、キャプテンの宮間あやと抱き合いながら、やりきれない悔しさを滲ませていた。その姿は涙こそなかったが、ショックの大きさを物語っていた気がする。
 
 日本はオーストラリア戦の反省を活かし、序盤から積極的に敵陣でプレー。左サイドの横山久美を中心に韓国の守備を崩し、何度も決定機を作った。それでも、なかなかゴールを割れず、岩渕はもどかしさを感じながらベンチで戦況を見守っていたという。
 
「私たちにはとにかくゴールだけが必要だった。早い時間に点を取ってほしいなと思って見ていて、正直もどかしさはありました」
 
 出番が回って来たのは59分。佐々木監督から「1.5列目でボールを受けて、どんどん仕掛けろ」と指示を受けてピッチに立った。オーストラリア戦(83分)よりも早い投入で「時間が長くなって、与えられている時間が増えた分、やらなきゃいけないことは多かった」(岩渕)なか、「自分が入って絶対に点を取ってやろう」と思っていたという。
 
 64分にアタッキングサードで相手からボールを奪って左足でシュートを放つなど、ゴールへの意欲を前面に押し出していく。その後チームが韓国に押し込まれる時間が増え、ボールを持つ回数は限られたが、84分に歓喜の瞬間は訪れた。
 
 右サイドから川澄奈穂美がクロスを放つと、ペナルティエリア中央でFW大儀見優季が潰れ役となり、ボールは後ろで隠れるように立っていた岩渕の元へ。相手GKも飛び出してくるなか、頭でコースを変え、ゴールネットを揺らした。
 
「(当たったのは)頭です。(ボールが)超えるかなと思いましたけど、ギミちゃん(大儀見)が前で潰れてくれて。ああいったダサイ形でも、決められて良かったです」
 初めてプレーする五輪予選で待望のゴールを決め、岩渕はヒロインになるはずだった。しかし、87分に守備陣の連係ミスから失点。まさかの引き分けに終わった。試合結果はもとより、岩渕が悔やむのは終了間際の90+2分に巡ってきた決定機を仕留められなかったことだ。
 
「最後の場面は、“行けた”と言うより、“行かないといけない”。あそこで点を取れていたら、試合の結果も、自分たちの立場(順位)も変わっていた。ゴールというひとつの結果を残せたのは良かったですけど、欲しい物(勝点3)は手に入れられなかったので悔しいし、チームに申し訳ない」
 
 日本は勝点2を取りこぼし、2試合で手にした勝点はわずか1の5位と、崖っぷちの状況に変わりはない。しかし、同時刻に行なわれた北朝鮮と中国の試合が1-1のドローに終わったことをスタッフから知らされ、「まだ可能性があるから、しっかり準備しよう」と話し合ったという。
 
「中国が勝点4なので、次に勝てば自分たちの位置も変わってくる。この短い期間でなにかを変えるのは難しいですけど、最後は気持ちだと思います。今日の勝点1を無駄にしないためにも、残り3試合は『全員の気持ちで押し込む』くらいのゴールを決めて、勝利を目指すしかない。もちろん、私自身もゴールを目指すつもりです」
 
 あとがない中国戦で、チームを救うゴールを決められるか。岩渕に再び“満開の笑顔”が訪れることを期待したい。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)