「Run Pit限定! Audibleタッチ&トライスタート」のポスター

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Amazonが提供している「Audible(オーディブル)」というサービスをご存じだろうか。書籍を中心に様々なジャンルの朗読音源を提供するサービスで、豊富なタイトルを月額1500円で好きなだけ聴けるというものだ。

オーディブルはこのほど、認知拡大を狙って「ランニング×朗読」という新たな提案を打ち出した。東京都千代田区の皇居の周囲を走るランナー向けシャワー施設「Run Pit by au Smart Sports(ランピットバイエーユースマートスポーツ)」で走りながらサービスを体験できるコラボレーション企画を2016年3月14日まで行っている。

全20ジャンルで様々なコンテンツを気軽に試せる

「なぜランニングしながら本の朗読を?」と思った人もいるだろう。

実は、アメリカやヨーロッパではオーディオブックは広く認知され、車や電車での移動時間だけでは無く、ランニングやウォーキングなどの運動中にもオーディオブックを楽しむ文化が早期から醸成されている。

ランニング中のお伴に、ランニング前後の精神統一やリラックスに、「朗読を聴く」という選択肢を知ってもらおう――。それが今回のキャンペーンの狙いだ。

オーディブルは現在20ジャンルを用意しており、コンテンツはビジネス書や小説といった一般書籍から落語や語学教材まで、多岐にわたる。定額制で聴き放題なので、幅広いジャンルの中から興味があるコンテンツを気軽に試せるのが強みだ。

15年7月の日本でのサービス開始から、認知拡大のために女優の宮沢りえさんや元フィギュアスケート選手の高橋大輔さんなど著名人を起用した朗読音源の配信など、PRに努めている。

皇居ランナー「思ったより内容がしっかり頭に入ってくる」

施設内の休憩・待合スペースで試聴できるだけでなく、端末を借りて実際に走りながら体験できる。それにしても――ランニング中に音楽を聴く人は多いが、朗読となるとどうなのだろう。

「走りながらで内容は頭に入ってくるの?」
「朗読に集中すると、走るコンディションに影響出ない?」

実際にオーディブルを聴きながらのランニングを体験した皇居ランナーに感想を聞いてみた。

インタビューに答えてくれたのは、皇居近くの企業に勤める男性。ランニング歴は2年で、週3回ほど皇居周りを走っているという。1回にかける時間は1時間半ほど。基本的に携帯端末で音楽を聴きながらランニングしているが、オーディブルの存在を知って

「一人だけで走っている時間って実はけっこう暇だし、寂しいんです。だからランニング中に本を聴けるとなったら便利だし、一石二鳥だな」

と考えたという。実際に聴きながら走った感想は

「聞き流すだけの音楽と違って、朗読は理解しなきゃいけないので、果たして走ってる時に内容が頭に入ってくるのかな、という心配はありました。でも実際聴きはじめると、意外に問題なく頭に入ってきた」
「音楽と違ってテンポ感はないんですが、個人的には心地よい音。皇居周りはコースを大体覚えているので、ある程度自分でペースを調節できます。なので朗読を聴くことで走るテンポがずれたり、途中で内容の理解が途切れてしまう、といったこともありませんでした」

以前は仲間と一緒にランニングをしていたというが、今ではオーディブルが心の友になっているようだ。

英米では電子書籍を超える勢い

AmazonのAudible担当のキーリング宮川もとみさんは、サービス開始してからの反響について

「サービス開始当初はオーディオブックの利用方法がほとんど知られていない状態でしたが、我々がオーディブルのアプリを使って様々な楽しみ方をPRしていく中で、実際に使ってみた感想や、新たな使い方の提案など反応が多数寄せられており、手ごたえを感じています」

と語る。

アメリカでは、電子書籍以上にオーディオブックの売り上げが伸びている。アメリカ出版社協会(AAP)によると、2015年1〜8月のダウンロード版の売上高は前年比で38%も増加した。爆発的に伸びた理由はいうまでもなくスマートフォンの普及だ。アプリをインストールすればオーディオブックプレーヤーとして使える。

また「出版ニュース」15年8月下旬号は、イギリスの14年度オーディオブック市場が前年比24%増と目覚ましい伸びを見せたことを報じている。同国の大手出版社は単なる書籍の音声化にとどまらず、オーディオブックならではの付加価値をつけることで勝負に出ている。有名俳優を朗読に起用したり、人気著者と俳優が対談するシリーズを始めたり、サンプルを無料配信して書籍の宣伝に利用したりしているという。

こうした取り組みが日本でも本格化すれば、目や手が使えない生活の様々なシーンで本を聴く習慣が定着する可能性は十分にある。オーディブルではコンテンツの拡充に加えて、若手声優の発掘や、朗読してほしい人材のリクエスト対応、新たな利用シチュエーションの提案など様々な取り組みを進めていく方針だ。