森美穂インタビュー(後編)

プロゴルファー・森美穂(23歳)。いよいよ始まる新シーズンに向けて何を思うのか? 意気込みと目標は? さらに、その素顔に迫った――。

◆今季の目標はシード権獲得

―― 女子ツアーは、まもなく2016年シーズンが開幕します。昨年のQT(※)44位という結果を受けて、森美穂プロにとっては初のツアー本格参戦となりますが、現在の心境はいかがですか。
※クォリファイングトーナメント。ファースト、セカンド、サード、ファイナルという順に行なわれる、ツアーの出場資格を得るためのトーナメント。ファイナルQTで40位前後の成績を収めれば、翌年ツアーの大半は出場できる。

「いよいよ始まるなって。すごく楽しみです。フル参戦というか、ツアーの大半に出場できるのは今年が初めてなので、起こることすべてが初めてのこと。不安な部分はもちろんありますけど、ワクワクしていますね」

―― プロテストに受かるまでの苦労と苦悩を思えば、どんな苦境が訪れても乗り越えられるのではないでしょうか。

「いえ、これまでより、これからのほうが大変だと思っています。今までは、プロになれるか、なれないかの戦いだったのが、これからは、よりシビアに結果を求められますから。きっと、すごく大変な道のりだと思います。

 第一、私はまだまだ成長しなければいけない。"まだまだ"というか"まだまだまだ"ぐらい。そのために、やらなければいけないことばかりなので。目先の結果だけにとらわれることなく、長い目で取り組んでいこうと思っています。これからは、イ・ボミ選手やテレサ・ルー選手のような、すごい選手たちと戦っていかなくちゃいけないんだって考えると、怯(ひる)みそうになりますし、いきなり互角に戦えるとも思えませんし。

 でも、段階を踏んで、自分のペースで、しっかり一歩ずつ歩み続けていけば、いつか互角に戦える日が来るって信じています。焦らず、浮つかず、地に足をつけて、遠くをしっかり見つめ、やっていこうと思っています」

―― ご自身が理想とする選手像には、何年ぐらいでたどり着けそうなイメージを持っていますか。

「少なくとも、3年はかかるなって。なにしろ、今年はすべてが初めてですからね。毎週、試合に出るペースさえわからない。正直、体力面での不安はかなりあります。自分の体がどうなるんだろうっていうのは、未知のことなので。とにかく、すべてが勉強だなと思って、この1年はやっていこうと思っています」

―― このオフには合宿などもこなしてきたそうですが、特に強化してきたのはどの辺りでしょうか。

「すべてを強化しなければいけないんですが、特に重点を置いてやってきたのは、打ち込みとフィジカルトレーニングです。今季は"ケガをしない"というのがテーマのひとつなので、インナーマッスル系のトレーニングを重視して、肉体強化を図ってきました。それは、飛距離アップが目的というより、私はたくさん練習したいので、どれだけ練習しても痛まない体をまずは作りたかったんです」

―― では、今季に向けての目標を聞かせてください。

「(来季の)シード権を獲りたいです。もちろん、出場する試合は全試合優勝を目指してプレーしていきますが、シーズンが終わったとき、結果的にシード権が取れていたら、今年の目標は達成かな、と思います」

◆ゴルフウェアを着て学校に通った

―― ゴルフを始めた頃のこともうかがいたいのですが、初めてクラブを握ったのは、3歳のときだったそうですね。

「(ゴルフは)物心つく前から始めていたので、気づいたらクラブを持っていました(笑)。常にゴルフをしていたというか、生活の中に、ゴルフがあって当たり前、練習して当たり前って感じでしたね。小学校の頃とか、学校に行く前に練習して、帰ってきても練習の毎日だったんで」

―― 同級生と同じように、「放課後に遊びたい」と思うことはありませんでしたか。

「遊びたかったですけど、遊んだことがないですね。『プロゴルファーになるんだぞ』って言われながら育ったんで。何の疑問も持たず、毎日練習して当たり前だって思っていましたから」

―― ゴルフ以外のスポーツに興味が沸くことはありませんでしたか。

「球技が苦手で(笑)。バレーボールもバスケットボールも下手でした。唯一、マット運動が得意でしたね。走るのは、短距離よりも長距離のほうが得意で、水泳は人並みでした」

―― 女子はおしゃれに目覚めるのも早そうですが、森選手はいかがでしたか。

「おしゃれも、したいとはあまり思わなかったですね。小さい頃は、ゴルフウェアしか着ていなかったですし。小学校にも、ゴルフウェアを着て行っていました(笑)。中学校3年生になって親元を離れて、福井県の学校で寮生活をするようになったんですけど、そこで初めて『同い年の子は、おしゃれに気を使っているんだ!』って気づいたぐらいで。私は高校生になって、少しは(おしゃれを)意識するようになった感じですね」

―― ちなみに、ピアスの穴をあけたのはいつですか。

「高校を卒業して、あけました。同い年の香妻(琴乃)にあけてもらったんです」

―― 人気アイドルグループの『AKB48』には、森選手と同い年くらいの子がたくさんいます。アイドルというか、芸能界に興味を抱くことはありませんでしたか。

「ぜんぜん! まったくないです。私のアイドルは、ずっと福嶋晃子さんだったんで」

◆20代のうちには結婚したい

―― さて、ここからは一問一答形式で、森選手の趣味など、プライベートな話を聞かせてください。まず、趣味。オフの過ごし方なども教えてください。

「趣味は、釣りです。プロテストに合格したときに、(同い年のプロ)葭葉ルミに釣竿をもらったんです。仲間うちで『釣り部』を作っていて、よく釣りに行きます。バス釣りがメインなんですけど、遠征先で野池を探したり、湖を探したりして、試合や練習の合間の時間があるときにやっています。私は、まだ1回しか釣れたことがないんですけど(笑)」

―― 釣りは、どんな瞬間が楽しいですか。

「やっぱり(魚が)釣れた瞬間が一番楽しいんでしょうけど、釣れなくても『どうやったら釣れるかな』って考えながら、ルアーや仕掛けを選んだり、ポイントを変えたり、いろいろと試してやっている時間も楽しいです。それに、釣りをしているときは、そのことしか考えないので、いい気分転換というか、リラックスにもなっています」

―― 好きな食べ物は何ですか?

「"名古屋めし"が好きです。味噌系の料理、味噌カツ、味噌煮込みうどん、土手煮とか、大好きですね」

―― 反対に、苦手な食べ物は何ですか?

「なぜか、昔からキュウリだけが苦手ですね」

―― よく聴く音楽、アーティストはいますか?

「中学生の頃から『KREVA』が好きです。ひとりでライブに行ったりもします。あと『Mr.Children』も好きです」

―― 好きなマンガ、もしくは愛読書はありますか。

「マンガは、あんまり読まないです」

―― では、好きなタイプの男性は?

「タイプがあまりないんですよね。でも、爽やかな人がいいです」

―― 結婚願望はありますか?

「あります。20代のうちには結婚したいなっていう願望はあるんですけど......。ゴルフをやっているので、現実的にはどうなのかな、と思っています」

―― 最後に、将来の夢を教えてください。

「たくさん優勝できる選手になることです。あとは、何か影響を与えられる選手になれたらなって思っています。イ・ボミ選手のような存在が理想です。成績を残すだけでなく、ファンの方への対応もよくて、技術でも、プレー中でも、その立ち居振る舞いでファンを惹きつけているじゃないですか。

 自分で言うのも何なんですが、私はプロになるまでに長い過程があったので、私ががんばる姿を見せることや、いいプレーを見せたり、優勝したりすることが、悩んでいる人たちや、応援してくださる方々への『諦めちゃいけない』っていうメッセージになると思うんです。そんな、夢とか希望を与えられる選手になりたいんです。私は、記憶にも、記録にも残る選手になりたいです」

―― ありがとうございました。今季の活躍を期待しています。

【プロフィール】
森美穂(もり・みほ)/1992年12月19日生まれ。三重県出身。2015年、5度目の挑戦でプロテストに合格。同年、QTでも44位という成績を収めて今季、ツアー本格参戦を果たす。身長157cm。血液型A

水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro