シェー!『SMAP』と『おそ松さん』の共通点って?コラムニスト・泉麻人が人気の秘密を探る
 今年は原作の作者・赤塚不二夫氏生誕80年。記念企画として、22人の著名人を講師に迎え“赤塚イズム”を講義する『バカ田大學』を東京大学で開催中だ。

 コラムニスト・泉麻人さんは、独自の視点から「おそ松くん」を分析。赤塚不二夫生誕80年企画『バカ田大學』では「シェーとは何か?」と題して、おそ松ブラザーズやわき役たちの知られざる過去を解説するなど、いわば“おそ松ワールド”の宣教師。

 そこで、大ブームとなっているアニメ「おそ松さん」(テレビ東京系)を「おそ松くん」と比較しながら、より深く楽しめる秘訣を伺った。

◆原作と「時代」が上手くブレンドされた「おそ松さん」

――アニメ「おそ松さん」と「おそ松くん」を比べてどのような感想をおもちになりましたか?

泉 麻人さん(以下、泉):「おそ松くん」のときは無個性だった6つ子が、それぞれに個性を持ってコントをしているところがすごく新鮮に感じましたね。シナリオも、テンポや落とし込みのナンセンスさが昨今の若手グループコントのセンスを感じます。

 リメイク物は不満足なことが多いけれど、はじめから良くできているなって思いましたよ。「おそ松くん」のネタをベースにしたストーリーもいくつかあって、当時を踏襲している感もありますね。

――「おそ松さん」のシリーズ構成を手がける松原秀氏は、バラエティー番組も手掛ける構成作家だそうです。ちなみに、「おそ松くん」を踏襲しているのはどんなところでしょうか?

泉:まず、現代の時代背景を上手く取り入れているところかな。「おそ松くん」では流行りの歌謡曲やギャグフレーズを起用するシーンが多かったんだけど、「おそ松さん」では6つ子の行動体系によく現れていると思います。カフェで働かせるとか、ニート設定とかさ。

 あと、チビ太がちゃんとおでん屋になっていて、屋台がハイブリットだったり、脇に「Wi-Fi OK」って書いてあったり、細かいところまで時代を反映させているなって。

 それから舞台設定。第18話の「逆襲のイヤミ」は、原作ではトト子ちゃん扮するトト子姫との結婚をかける設定になっているけれど同じようにカーレースで勝敗を決めていたし、第3話の「デカパンマン」も初登場あたりのデカパンを彷彿とさせるものがありましたね。

――初出のころのデカパンはあんなキャラだったんですか?

泉:デカパンは最初、オリジナルの「おそ松くん」でアブナイ人の感じで出てきたんですよ。滝に打たれながら「アーホンダラホンダーラ」って(笑)。だから、あの「おそ松さん」3話での「デカパンマン」は最初のデカパンのにおいがして、僕は好きだったな(笑)。
※参考「チビ太にはモデルがいた!?イヤミの初シェーも大公開「おそ松くん」トリビアに驚き!」(http://joshi-spa.jp/464919)

◆6つ子=SMAPや嵐のようなグループアイドル!?

――「おそ松くん」を知らない若い女性の間でも「おそ松さん」が人気なのですが、その理由は何だと思いますか?

泉:20代の6つ子を主人公にしたことで青春コメディやトレンディドラマのような設定ができるようになって、ターゲットが子どもから大人に変わったのは大きいと思います。6つ子それぞれがキャンパスやオフィスにいそうな“今どきの男の子”の雰囲気を持っていて、親しみやすさもあるんじゃないかな。それから設定がリアルなだけに、6人が同じ顔という“きもわるさ”みたいな毒もほのかに効いている(笑)。

 6人にキャラ付けがなされたことで差別化はされたけれど、突っ込みどころもあるし、完璧ではないユルさがあって視聴者がいろいろ見立てることもできるから、いわゆる“腐女子”の人たちの想像力を掻きたてる要素もあるよね。6人の中で「どれにするか」って選べるゲーム性もあって、ある種、SMAPや嵐のようなグループアイドル的な位置づけなんだよね。