By Minh Hoang

1996年にゲームボーイ用ソフト「ポケットモンスター 赤・緑」が発売された「ポケットモンスター」シリーズは、2016年で発売20周年を迎え、節目の年にシリーズ最新作の「ポケットモンスター サン」と「ポケットモンスター ムーン」が発表されました。ポケモンはゲームの枠にとどまらずアニメやトレーディングカードゲーム、マンガなどでも展開され、日本だけでなく世界中に多大なる影響を与えてきたのですが、Wikipediaにもポケモンが大きな影響を与える「ポケモンテスト」という運動が存在します。

Wikipedia:Pokémon test - Wikipedia, the free encyclopedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:Pokémon_test

Pick and choose and Pikachu: 20 years after Pokémon launched, its impact on Wikipedia remains « Wikimedia blog

https://blog.wikimedia.org/2016/02/26/pokemon-wikipedia-impact/

Wikipediaは不特定多数のユーザーが記事の投稿や編集を行えるため、「編集合戦」と呼ばれる問題が発生することがあります。編集合戦とは記事中の文章の削除や差し戻し、追記が繰り返される状態で、その中には編集者と削除者が記事自体の削除と再投稿を繰り返す「削除合戦」というものもあります。



By Prachatai

記事の正当性や存在意義を見極めて必要ないと判断したユーザーが削除し、それに対抗して編集者が記事を再投稿するという削除合戦で、20年間も議論になっているのが「Pokémon test(ポケモンテスト)」という運動。ポケモンテストは、簡単に言うと「削除される記事を救うのに、ポケモンの観点から正当性を訴える」というもの。

例えば、ポケモンとは全く別の記事が削除されそうなときに「あのポケモンの記事が投稿されているのに、なぜこの記事の投稿は許可されないのか?」というような議論が行われます。2005年には1人の編集ユーザーが「もしスター・ウォーズやスター・トレック、ポケモンに登場する全てのキャラクターの個別記事があるとすれば、ニコラス・ホッパー教授の記事もあるべきです」という意見をポケモンテストに投稿しました。

Wikipediaの投稿によれば、ニコラス・ホッパー教授とはVFD(蛍光表示管)の研究を行っており、2004年に博士号を取得したものの出版された論文が一切なく、出版物は会議での発言に限られるという教授で、2016年現在でも個別記事の投稿を巡る議論が行われている人物。つまり、ポケモンテストの観点からすると、ポケモンに登場する全てのキャラクターの記事が許されるなら、ニコラス・ホッパー教授のような大きな功績がない人物でも記事の投稿が許されるべきというわけです。

サービス開始当時、Wikipediaにはポケモンに登場するキャラクターに関する400もの個別記事があったとのこと。しかしながら、シリーズを代表するキャラクターであり広く認知されているピカチュウの記事があるのは理解できますが、マダツボミの記事が必要かどうかと言われれば、ポケモンファンの中でも首をかしげる人はいるはず。ポケモンの攻略サイトであればマダツボミの記事があるのは当然ですが、Wikipediaはマダツボミの基本データや生息地などを掲載するのに適した場所とは言えなさそうです。



By Eurritimia

ポケモンテストが登場する以前には、ポケモンに登場する四天王の1人である「カリン」を個別キャラクター記事が存在する上での指標として参考にする「Karen Importance Test」というものまでありました。カリンの記事が削除されなかったことから、カリンと同じくらい重要性があるキャラクターの個別記事を削除から救おうという動きがあったようですが、Karen Importance Testはポケモンテストの登場とともに次第に勢力を失い、その結果カリンの記事は削除されることになりました。

Robert FernandezさんというWikipediaの編集者は「ポケモンテストのような編集合戦は言葉や表現が非常に厳しいので、可能な限り距離を置くのがよい」と話す一方で、「ポケモンは、統計的な測定に外部の圧力が影響を与える系統的バイアスを議論するのに役立ちます」と評価する姿勢も見せています。

2016年時点では、Wikipediaでフィクション作品に関する記事を書く際のルールが定められていて、ポケモンシリーズに登場するほとんどのキャラクターは各シリーズごとにリストにまとめられており、「ポケモン一覧」からリストを確認できるようになっています。