【女子リオ五輪予選】新10番として意地の一撃。大儀見が語る今後の打開策とは?

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「負けられない」「ホーム開催」「背番号10」――。オーストラリア戦の大儀見には、3つのプレッシャーがかかっていた。実際、試合序盤は「(10番を着ける)緊張感があった」という。
 
 前線で起点になろうと身体を張るも、身長176センチのCBアランナ・ケネディに押し返され、すぐに囲まれてボールを奪われてしまう。本来はサポートに来た選手との連係で崩していくはずが、初戦の硬さからか中盤やサイドから果敢に押し上げる場面は少なく、序盤は“孤立無援”の状態が続いた。大儀見自身、ピッチの中でもどかしさを感じていた。
 
「積極性が足りないとはやっていても感じました。開始15〜20分くらいはボール保持者に対するサポートが遅くて、自分のところでももっと早く来てほしいなと思うシーンはあった。(負けられない大会の試合で)ナーバスになりがちですけど、そこでいかにリスクを冒してサポートに行けるか、ボール保持者を追い越していけるかが鍵だと思います」
 
 25分、高さで勝るオーストラリアに先制を許すと、41分には横パスが審判に当たる不運に見舞われ、カウンターから2点目を決められてしまう。前半で2点ビハインドのまさかの展開に嫌なムードが漂ったが、相手の勢いを止めたのはやはりエースの大儀見だった。
 
 前半ロスタイム、右サイドで川澄→有吉とつないで中央に折り返し、阪口のシュートに相手DFよりも一歩前に入り込み、左足でコースを変えてネットを揺らした。「(相手の)GKとDFはクリアミスが多かったし、こういう予選では相手もペナリティエリアの中で慌てる」(大儀見)隙を逃さなかった。
 
 その後日本は大儀見の一撃で盛り返し、後半開始からサイドを起点に攻撃を仕掛けたが、再三ボックス内に侵入しながらチャンスを決め切れずにいると、78分にオーストラリアにダメ押しの3点目を食らって万事休す。重要な初戦で1-3とまさかの完敗を喫し、試合後の大儀見は終始厳しい表情を崩さなかった。
 
「2点奪われた後に1点取って流れはできたんですけど、そこからさらに流れを引き寄せられなかったのが、自分たちの足りないところだと思いました。(ゴールを挙げたと言っても)結果的に負けてしまったので、もう2、3点取れる選手になっていかないと」
 
 大儀見は残りの4試合に向けて、意識改革とイメージ共有が必要だと語る。
 
「一人ひとりがひとつ、ふたつ、ないし3つ先のことまでイメージしてボールを持ったり、オフ・ザ・ボールの動きをしなければ、どうしても手詰まりになってしまう。出し手と受け手の関係を上げていく必要があるし、もっと攻撃パターンを作っていかないと、相手を崩しての得点には辿り着けないと思います。
 
 サイド攻撃をするにしても、中に人数をかけながら、ワイドに散らしていくのを繰り返さないと自分たちの良さは出てこない。クロスもタイミングをずらしたり、もっと早い段階で上げて相手の嫌なタイミングにしたり、工夫をしていかないと得点は生まれづらい。こういう緊張感のあるゲームこそ、リスクを冒して前に人数をかけないといけない」
 
 次々と口を突く課題も、中心選手として、10番としての自覚がそうさせるのだろう。オーストラリア戦の敗戦が痛いのは間違いないが、大儀見は決して後ろを振り返らない。それは、自分たちの力を出せれば、決して負けないという自信があるからだ。
 
「これで予選が終わったわけではないし、とにかく前向きに切り替えていくしかない。(日本が)持っている力はどのチームよりも上。それを出せるか出せないかの差なので、イメージを密にしていければ、良い方向に進めると思います」
 
 澤穂希から受け継いだ10番に関しても、「徐々に慣れてきて、途中からは背番号のことは忘れていた」という。少し肩の荷が下り、「ここからがスタート」(大儀見)。今後の試合に向けて、さらなる活躍を誓った。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)