24日、北岡伸一JICA理事長が日本政府国連代表部次席代表を務めた経験をもとに、国連で日本が果たすべき役割について講演した。日本の援助方式に対し、「多くの開発途上国の支持が集まっている」と指摘。国連安保理常任理事国候補の「一番手」に付けていると語った。

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2016年2月24日、北岡伸一・国際協力機構(JICA)理事長(東京大名誉教授)が、日本政府国連代表部次席代表(2004年4月〜06年9月)を務めた経験をもとに、国連で日本が果たすべき役割について、日本記者クラブで講演した。これまで欧米中心で運営されてきた、「法の支配」「民主主義」といった価値観を開発途上国に無理強いすることなく対応してきた日本の援助方式に対し、「多くの開発途上国の支持が集まっている」と指摘。国連安全保障理事会の常任理事国入り候補の「一番手」に付けているとの認識を示した。

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また日本の外交について、「外交は“知的格闘技”であり、相手の弱いところをバシッと突いて、はぐらかすことが必要だが、議論のやり方が下手だ」と指摘。その上で、「外交官の多くは東京の指示通りに動いている。もっと現場に任せ当意即妙でやるべきだ」と批判した。発言要旨は次の通り。

国連における日本の影響力は、財政的には、負担金が2005年の19.5%から現在の9.7%へと減少、ODA(政府開発援助)も半減しており、財政面では後退している。しかし、「人間の安全保障(SDGs)」では(1)義務教育制度を最初に広めたこと、(2)保健衛生システム―などで貢献している。

さらに、これまで欧米中心で運営されてきた、「法の支配」「民主主義」といった価値観を開発途上国に無理強いすることなく対応してきた日本の援助方式に、多くの開発途上国の支持が集まっている。特にアジア地域においては、経済の安定と発展に重点を置き、民主主義などに柔軟な方法は、インドネシア、フィリピンなどで採用され、成果を挙げてきた。ミャンマー(軍事政権)などに対しても制裁だけではうまくいかない。辛抱強く経済発展させる日本の方式は影響力を持ちつつある。

日本が安保理の常任理事国になるメリットは大きい。日本は、かつてのような「凄味」は薄れているものの、安保理が機能不全に陥っているなか、常任理事国候補の一番手につけている。日本には「拒否権」は必要なく、なくても何とかなる。国際社会のメインストリーム(主要国)はこの問題には敏感で、日本が拒否権を要求した途端に加盟問題は終わる。

(対北朝鮮問題について)国連では常任理事国の一国が断固としてノーと言ったら調整する能力はない。シリアなど中東問題では一致できても、対北朝鮮で血を流してでも、制裁に加わる国はない。

日本の外交は、一般的に議論のやり方が下手である。国会審議と同じで、全部答えてしまい反論される。外交は「知的格闘技」であり、相手の弱いところをバシッとついてはぐらかすことが必要だ。多くの外交官は東京の指示で動いているが、「外交国際論壇」で戦った経験がないと外交の達人になれない。

例えば、私は国連代表部次席代表時代に北朝鮮問題で、反論させられた。北朝鮮はには反論する権利があり、周りは面白がって見ている。東京(本省)は高いレベルで(強く)反論せよと指示してくる。国会で怒られる(追及される)からだろうが、外交はもっと(現場の)に任せ当意即妙でやるべきだ。

北朝鮮問題は国連の限度を超えている。イスラエルの問題と同じ。私が次席代表だった当時、安保理(非常任)に入っていなかったら進展は遅れていたと思う。ただ開発は止められない。日米安保でも解けないものは解けないというのが現実だ。(八牧浩行)