行き過ぎた完璧主義? 「強迫性パーソナリティ障害」とは

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「 強迫性パーソナリティ障害 」の人は、几帳面で融通が利かず、努力し頑張ることに至上の価値をおく完璧主義です。
自分だけでなく他人にも完全を望むので、トラブルを起こしやすく、また娯楽や友人よりも仕事を優先する傾向があります。ここでは、強迫性パーソナリティ障害について説明します。

強迫性パーソナリティ障害 特徴


キチッとしていて、責任と義務を果たそうとする「律義で責任感の強い善人」が、このタイプの特徴です。
自分を抑え、自分に厳しく、善と悪、正誤がハッキリしていて、間違いは悪だと信じています。ミスを許さない完璧主義であることから、うつ病や心身症に最もなりやすいパーソナリティ障害です。

努力家で、頑張ることに最も価値を置き、成果が出ないと徒労感にさいなまれます。絶えず何かしていないと気が済まず、リラックスできません。ハプニングは不快な経験でしかなく、融通も利きません。自由な発想が苦手で、従来通りのやり方にこだわります。

強迫性パーソナリティ障害 極めて真面目な半面、押しつけがましく変化に弱い


一方、他人との関係では、よほどのことがなければ最後まで面倒を見るタイプです。仕事も最後までやり遂げようとし、自分を後回しにして他人への責任を優先します。これまでのやり方に忠実・着実なので、信頼できる社会人という印象を与えます。

ただし、変化に弱く、時代の流れに取り残されがちになります。また、自分だけでなく、周囲にも自分の流儀を求めたり、細々と押しつけたりする傾向があります。その結果、周囲に疎まれて孤立してしまうことも。

常に努力し、理想へまい進していますが、人生を苦行にしてしまい、楽しみの少ない生活を自分に課してしまうタイプです。物を捨てるのが苦手で、何でも取っておいてしまう特徴もあります。背景には「現状を変えたくない」という気持ちが強く働いています。

強迫性パーソナリティ障害 接し方


自分のこだわりに関して融通が利かないので、本人の流儀に合わせて責任範囲や役割分担を明確に決めるのが、このタイプとうまくやっていくコツです。
こうすれば、本人は自分の流儀で前向きに取り組むことができ、うつ病や心身症を防ぐことにつながります。同時に、周囲にとっても際限なく巻き込まれて疲弊することを防いでくれます。

このタイプの人は、自分の価値観に強くとらわれて一面的な見方をしがちなので、別の視点を与え、凝り固まらないような柔軟性を提供することで、人間的な幅を広げられます。選択肢がいくつかあるという事実 主義から、仕事も生活も偏った方針で極端に走りやすいので、ほどほどの「よい加減」をアドバイスすることが大切です。

強迫性パーソナリティ障害 克服


このタイプの人は休むことが苦手で、働き過ぎてしまう傾向があります。休養も仕事のうちと考え、完全燃焼しないようにすることが障害克服のコツです。上手に気を抜き、周囲を眺める余裕を楽しむことを覚えましょう。

すべての責任が自分にあるように思い詰めがちなので、責任を分担することや諦めることも重要だと考えることも大切です。自分と同じ基準を他者にも求めてはいけません。違っていることや別の価値を尊重する態度も、克服に向けての必須事項と言えます。

<執筆者プロフィール>
山本恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ 副社長