危機管理学部の開設プロジェクトのスタート直後から関わってきた日本大学法学部教授で日本大学大学院新聞学研究科教授の福田充氏(撮影:防犯システム取材班)

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 防犯やセキュリティ分野の最新トレンドから気になる話題をピックアップして、関係者にインタビューするのが本コーナー。第2回は、2016年4月より日本大学の三軒茶屋キャンパスに新設される危機管理学部に関して、同学部で教壇に立つ福田充教授に「危機管理学」という学問に関して話を伺った。

●法学的なアプローチから危機管理を学ぶ学問

 そもそも今回、日本大学に話を伺おうと思ったのは筆者が感じた素朴な疑問に端を発する。「危機管理」という言葉自体は、おおよその意味は理解できるが、そこに学問の「学」が付いた時に、どんな学問になるのかという疑問だ。

 稚拙な想像だが、『24』のジャック・バウアーや、『ダイ・ハード』のジョン・マクレーンのような判断力と行動力を養える学問なのか?なんて思ったりもしたが、よもやそんなはずはないだろう。

 まずその基本的な部分を福田教授に確認すると、次のような回答が得られた。

「端的にいえば、法学的なアプローチで自然災害や大規模事故、犯罪やテロなどのさまざまな危機をマネジメントする方法を研究する学問になります。そもそも“危機管理"という言葉自体が、ここ20年で広まったもので、以前は、政治でもメディアでもある種、タブーと言える言葉でした。しかし、空気を一変させたのが、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件。その際の政府や自治体などの対応の遅れが問題となり、日本でも“危機管理体制の整備”の必要性が求められるようになったのです。当然、日本の教育機関においても危機管理の研究教育は遅れていて、危機管理を担う人材を養成することができず、適切な危機管理を行える人材はこの20年間、常に不足していました。先行して千葉科学大学さんが危機管理学部を設置していますが、医療や技術、環境問題といった理系的なアプローチの危機管理が中心で、当学部は文系、とりわけ法学的なアプローチの学部という点で違いがあります」

 福田教授が語った「法学的なアプローチ」というのがポイントで、政府や自治体が災害、テロ、原発事故などで対応する場合には、災害対策基本法や国民保護法、原子力災害対策特別措置法などそれぞれの法律に基づく必要が出てくる。しかし、その法律的な運用や手続きが後手に回ると、対応の遅れなどの諸々の問題が出てくるのだという。

 同学部で養成していくのは、まさにそうした法律に基づいた危機管理ができる人材。現代社会においては、災害時や有事の際に法律に基づき、組織や人々をどうやってマネジメントしていくのかが求められており、法学をベースに、政治学、社会学、政策科学などの社会科学全般の知識を用いて研究していく学部とのこと。

 具体的には、法律系科目や実践的な英語を学びつつ、「災害マネジメント領域」「パブリックセキュリティ領域」「グローバルセキュリティ領域」「情報セキュリティ領域」という専門科目を学生が選び、防災、防犯、テロ対策、情報管理などを専門的に学んでいくそうだ。他にも少人数での演習、ゼミを実施、自治体や企業へのインターンシップなども予定しているという。

●官公庁や大企業・大手マスコミ出身の教授陣

 そこで気になるのが教授陣だ。今でこそ聞き慣れた「危機管理」という言葉だが、実際に危機管理のノウハウを持つ人材となると限られてくる。どんな人たちが教壇に立つのだろうか?

 まず同学部の専任教員は計35名。今回、インタビューに答えてくれた福田教授は、同大学の法学部教授でもあり、危機管理学では「災害対策とメディア」に焦点を当てた研究をしている人物。

 また、教授陣に名を連ねる安藤貴世氏(現・国際関係学部准教授)は、国際法を専門分野として、特に「国際テロリズムに対する国際法上の規制」を研究しているとのこと。