◇お坊さんは「お坊さん便」ウェルカムだった


土屋:「それは違うでしょ」って方もいたんですか。

秋田:ゼロではないですが、お坊さんから拒まれることは少なかったですね。基本的にお坊さんは、お経を読んでほしいと困ってる方がいれば相談に乗ってくださる。

土屋:じゃあ、みんなが待ち望んでいたものの、盲点だったわけですね。苦労はありましたか。

秋田:あまりなかったですね。お客様とお坊さん、どちらも悩みや問題を持っていらっしゃることを知っていましたので、そこをうまくマッチングできればと思っていましたね。

土屋:思ったより大変だったことは?

秋田:宗派はご家庭によってそれぞれですが、地域によって特定の宗派の方が多い、少ないということもあります。地域によっては、希望の宗派のお坊さんが見つからない場合もあります。お客様はもともと住んでいた地域から移り住んでいらっしゃることも多い。例えば静岡の提携しているお坊さんには浄土真宗の方が少ないということで、他の地域から浄土真宗のお坊さんに来ていただく、そんな苦労はありますね。現在は提携数が増えてそういったことも少なくなりましたが。

土屋:自分の宗派はみなさん知っているものなんですか?「家の宗派はなんだろう?」って知らない人も多そうですが。

秋田:知らない方も多くいらっしゃいますね。そういう場合は、親戚の方などに過去にどういうお坊さんとおつきあいがあったのか確認していただきます。またはお仏壇やご位牌を見ていただくとわかることもあるので、それを写真に撮っていただいて、写真を見て想定される宗派をお伝えしています。

土屋:Amazonに出品するとき、最初はどういうところから提案されたのですか。

秋田:我々が提供しているサービスの中で、何かマーケットプレイスで出品できるものはないかということで相談しました。

土屋:その中で『お坊さん便』がOKになった。

秋田:はい、他のサービスは今後検討していくというところですね。当社は葬儀のサービスが軸になりますが、葬儀は緊急性が高いもの。他のサイトを経由すると、お客様が申し込みしてから決済確認などが発生し、その後我々が実際に動くという形なので、申し込みから時間がかかってしまいます。

それならば、まずはお申込みから実施まで時間に余裕のあるものから出品するということになりました。ですので、今回のAmazonさんでの『お坊さん便』の出品では葬儀への手配は行っていません。法事・法要に限って申込み可能です。

土屋:もともと値段がないようなものと言われていますが、「葬儀を除く主要な法事・法要での読経 税込35,000円」という値段はどういうところから決めたのですか。

秋田:もともと我々は葬儀のサービスを提供していましたので、その中でお付き合いのあるお坊さんやお寺さんなどに聞いて、全国の相場を調べ、どれくらいの価格帯が良いかヒアリングした上で設定しました。

土屋:この「35,000円」というのは標準的なのですか?安いのですか?

秋田:標準的だと思います。

土屋:お坊さんが減っているという記事もよく読むのですが。

秋田:減っているというのは、お坊さんやお寺さんとのお付き合いが減っているということですね。