レッドブルエアレースの最高峰・マスタークラスに参戦中の室屋義秀選手が、3/11アブダビでの開幕戦を前にキックオフ・ミーティングを開催、今シーズンのチーム体制や意気込みの他、国内で展開する航空プロジェクトなど様々な取り組みを発表しました。

昨年の第3戦千葉で新機体を導入すると、熟成が進んだ後半戦はコンスタントに決勝「ラウンド4」に残り、2度の表彰台を獲得し室屋選手。昨年末のトークショーの際も「ウイングレットの導入を準備している」とのコメントを(オフレコでしたが)頂いていました。

ウイングレットは主翼の端につける小さな羽で、翼端で発生する渦(気流)をコントロールし、空気抵抗を減らします。近年のジェット旅客機には(=燃費向上の目的で)殆ど装着されるなど性能は折り紙つきです。

MATHALLWINGLET

室屋機では旋回中に羽の下から上に向かって風が渦巻き、更に大きな渦を作る事で抵抗を減らし(旋回Gを増やす事無く)旋回速度が増す効果を図る形状を採用予定でした。

チームでは機体の改造をこのウイングレット中心に進め、ラップタイムを(非装着に比べ1秒)短縮、結果的に今シーズンの総合優勝獲得を目標に準備を進めていました。

しかし、今年に入り状況が一変しました。

順調に準備を進めていた新型ウィングレットの使用に「待った」が掛かり、開幕戦時点からの使用は認められない事になりました。

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以下はミーティング前日の室屋選手のコメントになります。

レッドブル・エアレース開幕戦アブダビまで、あと3週間となりました。
昨年2015年シーズンは、2016年の総合優勝を目指して準備に徹してきました。

その成果が後半戦に現れ、後半4戦中3戦はファイナル4まで安定して勝ち進むことが出来るチームが出来上がりました。

そして2016年。目標を総合優勝に定めました。優勝宣言には極めて大きな勇気と裏付けが必要です。トップ3に入るためには、気合いと根性だけでは通用しません。心技体のバランスが大事であり、メンタル、飛行技術、身体+機体の全ての要素において、計画的に準備を行ってきました。

その中でも機体は、ウルトラCが必要と考え、一年間をかけて大型のウィングレットを設計、審査、修正という長い長いプロセスを経て、2015年10月についに承認を受けました。

この切り札を持って、目標を総合優勝に定めました。

そして、1月にウィングレットが完成しテストの直前にレースコミッティーから突然のストップがかかります。審査担当者が変わった事により、強度計算などの論理的な理由なく、使用が認められなくなったのです。現在も対応を協議中でもありますが、膨大な努力を費やしてきたチームメンバーは、茫然自失。チームは予算も使い果たしていて崩壊寸前まで追い込まれました。

一方で、昨年からウィングレットを導入している他のチームはそのまま使用できる見込みで、極めて不利な状況での開幕となります。

それでも、我々は総合表彰台(3位以内)を目指します。

極めて苦しい戦いが予想されますが、必ず乗り越えていきます。

ご声援よろしくお願いいたします。

室屋義秀

(Facebook掲載原文のまま 室屋選手ご本人の転載了承済)

エアレース開幕直前、秘密兵器投入に「待った」がかかったチーム室屋。「それでも、総合3位を目指す!!」(http://clicccar.com/2016/02/29/356633/)