今年に入って、中国で作られたアニメ作品が日本の一部テレビ局で放送を開始した。これは、ソフトコンテンツ産業発展に力を入れる中国による、アニメ大国・日本への「逆襲」なのだろうか。ある中国メディアが下した結論は「否」だった。(イメージ写真提供:123RF)

写真拡大

 今年に入って、中国で作られたアニメ作品が日本の一部テレビ局で放送を開始した。これは、ソフトコンテンツ産業発展に力を入れる中国による、アニメ大国・日本への「逆襲」なのだろうか。ある中国メディアが下した結論は「否」だった。

 中国広東省のメディア・時代週報は23日、国産「二次元」による東への逆襲、と題した記事を掲載した。そのなかで、中国発のアニメ「霊剣山 星屑たちの宴」(中国でのタイトルは「従前有座霊剣山」)が1月8日より国内の独立系テレビ局など5局で放送を始めたことを紹介、「日本のテレビ局に上陸した初の中国アニメとなった」と伝えた。

 また、2月には「アニメージュ」、「アニメディア」、「月刊ニュータイプ」の日本アニメ界3大雑誌でも取り上げられ、やはり中国のアニメとして初めて「御三家」で報じられたと紹介している。そして、この「快挙」について多くの人が中国による「二次元」世界の文化輸出だと認識しているとした。

 その一方で記事は、中国アニメ業界は「日本のアニメを見て育った80年代生まれ、90年代生まれが主力であり、日本アニメのテイストが強く影響している」と説明。「霊剣山」についても「中国の仙侠文化を背景とし、中国各地の方言やネットスラングがしばしば登場するものの、その審美センスや画風にはやはり日本アニメの色濃い影響を感じさせるものだ」と解説した。

 そして、「霊剣山」の総監督を務める李豪凌氏が日中アニメ業界間の差について「ちょっとやそっとではない。自動車工業における差と同じだ。日本は工業的に整った生産ラインを備えているが、中国はクローズドな環境で制作している。小さな工房レベルだ」と形容したことを紹介した。

 さらに、「霊剣山」が中国のネット小説を原作とし、そこからマンガ化、アニメ化とつながったことを、IP(知財権)産業チェーンの形成として評価する一方で、日本に比べれば足元にも及ばないと指摘。「今回の日本進出は、逆襲というよりも『金メッキ』である」と表現したうえで、日本から学び追いつくべきものはまだまだ多いと論じている。

 「メッキ」という表現はユニークだ。日本アニメという「地金」の表面に中国風味の「金メッキ」を施したに過ぎず、ちょっと引っ掻いたり削ったりすればたちまち日本テイストが顔を出してしまうことを端的に表しており、秀逸な例えと言える。しかし、このような「金メッキ品」でもどんどん制作・輸出してその技術や評判を高めることで、やがては地金部分も自前で作る気運が生まれ、体制が整ってくるのではないだろうか。

 中国アニメ界には確かにまだまだ日本から学ぶべき点は多いのかもしれない。しかし、今回のトピックから間違いなく言えるのは、すでに「とにかく単純にパクって済ませる」時代が終わりを告げようとしていることだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)