朝鮮半島で毎年、この時期に恒例の「チキンゲーム」が繰り返されている。「水爆実験」にミサイル発射と続いた北朝鮮の挑発行為に、今年は韓国が強硬姿勢に転じた。写真は朝鮮半島の地図。

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2016年2月26日、北朝鮮が「水爆実験」、事実上のミサイル発射に踏み切れば、韓国は開城工業団地の閉鎖や米国との大規模軍事演習で対抗―。朝鮮半島で「一触即発」の危機が高まっている。毎年の「恒例行事」だが、今年は韓国が強硬姿勢に転じた。相手の出方をにらみながらの「チキンゲーム」が続いている。

韓国・中央日報によると、朴槿恵(パク・クネ)大統領は16日の国会演説で、挑発行為を繰り返す北朝鮮を厳しく糾弾し、「北の政権の変化」に言及した。これについて、同紙は高麗大の南成旭(ナム・ソンウク)統一外交学部教授の「北の政権が自ら変化しなければ崩壊させることもできるという点で、北が最も敏感になるレジームチェンジ(金正恩政権の交代)まで念頭に置いた強硬発言。朴大統領がルビコン川を渡った」との見方を紹介している。

北朝鮮に核、ミサイル開発の中止を強く求めてきた米国も直ちに反応。2月9日のミサイル発射後、最新鋭のステルス戦闘機F22を韓国に派遣した。朝鮮半島有事を想定して3月7日から4月30日まで行われる定例の米韓合同軍事演習には、原子力空母「ジョン・C・ステニス」やトマホーク巡航ミサイルも搭載している原子力潜水艦「ノースカロライナ」を参加させるなど北朝鮮への軍事的圧力を強める構えだ。韓国メディアによると、演習の規模は過去最大という。

こうした米韓の攻勢に北朝鮮がどう出るかは予断を許さないが、朝鮮中央通信によると、北朝鮮軍最高司令部は23日、重大声明を発表し、敵の特殊作戦兵力に動きがあれば、「制圧するための先制的な作戦遂行に入る」と宣言した。声明は「第1次の攻撃対象は青瓦台(韓国大統領府)をはじめとする韓国政府機関だ」と警告。第2次の攻撃対象は「アジア太平洋地域の「『米帝侵略軍』の基地や米国本土になる」とも述べた。韓国内では「北がテロを準備中」とも報じられている。

北朝鮮では4月15日の故金日成主席誕生日、25日の朝鮮人民軍創設記念日をはじめ、5月に36年ぶり開催される予定の朝鮮労働党大会などの重要行事が目白押し。国内引き締めのためにも、新たな核実験やミサイル発射を含め、お得意の「瀬戸際政策」に打って出る可能性が高い。

さらに、今回のミサイル発射を機に韓国は米国の求めに応じて、高高度防衛(THAAD)ミサイルの在韓米軍配備に向けた協議に応じると表明。これに中国が「THAAD配備は自国への脅威」と反発していることも、事態をより複雑にしている。

韓国・ハンギョレ新聞はこのほど、「中国メディアが朝鮮半島での戦争を連日報道」との記事を掲載。中でも中国共産党系の環球時報は「『中国は朝鮮半島の最悪状況に備え周到綿密な準備をしなければならない。米国と韓国が38度線を突破し北朝鮮に全面的に軍事行動を取るならば、中国が軍事的介入をする可能性も念頭に置かなければならない』と主張した」などと報じ、警戒感を深めている。(編集/日向)